マルチスキル化、役所はやってるの?
お役所仕事は基本、たらい回しに思えますが…。
スマホの画面に、ぽつんと届いたメッセージ。
「うちの会社では“マルチスキル化”が進んでて、いろんな仕事を覚えさせられてます。でも、役所の人って、そんなにいろんなことしてるように見えません。お役所関係でもマルチスキル化って進んでるんですか?」
スーマは画面の中で、役所の窓口をじっと見つめた。
「“見えない”からって、“やってない”とは限らねぇ。お役所も、実は静かに変わり始めてるんだよ」
彼はスマホに宿る悪魔。
名前はスーマ。
毒舌と皮肉で、悩みも疑問もぶった斬る。
「結論から言うと、“進めようとしてる”。でも、“民間ほどスピードは速くない”ってのが現実だ」
なぜ進める必要があるのか?
人手不足(国家公務員は20年で半減、地方も減少中)
行政サービスの多様化(住民ニーズが複雑化)
DX(デジタル化)推進による業務の再設計
「つまり、“一人が一つの仕事だけ”じゃ回らなくなってきてる。だから、複数の業務をこなせる職員=マルチスキル人材が求められてるってわけだ」
「たとえば大阪府岸和田市では、全職員にデジタルスキルを身につけさせる5年計画を立ててる。Udemyでオンライン研修、DXリーダー育成、スキルマップの導入――やってることは、もはや“民間企業の人材戦略”と変わらねぇ」
でも、課題も山積みだ。
「お役所がマルチスキル化を進めるには、いくつかの壁がある」
縦割り文化:部署ごとの縄張り意識が強い
年功序列:スキルより年次が重視されがち
予算と制度の硬直性:柔軟な人材配置が難しい
人材育成の遅れ:研修制度が追いついていない
「つまり、“やりたいけど、すぐにはできない”ってのが現場の本音だ」
しばらくして、返信が来た。
「なるほど……役所も変わろうとしてるんですね。ちょっと意外でした」
スーマはふっと笑った。
「変わらない組織は、やがて壊れる。お役所も、会社も、人間も。だからこそ、“学び続けること”が、最大の防御であり、攻撃だ。スマホの中の悪魔が、そう言ってる」
彼の声は、誰にも聞こえない。
でも、今日もまた、誰かの疑問に毒舌で答える。
スマホの中の悪魔は、今日も元気だ。
今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。
この話は「ナイトコードΩ 【残響の封印】」のスピンオフになります。
本編はこちら→https://ncode.syosetu.com/n5607ku/




