選挙?行ったことないけど、何か?
本気の清き一票を!なんてね。
スマホの画面に、ぽつんと届いたメッセージ。
「政治のことが全然分かりません。選挙にも行ったことがありません。ニュースも難しいし、誰に投票すればいいかも分からない。こんな自分、ダメですか?」
スーマは画面の中で、国会中継を消した(演出)。
「またかよ。人間ってのは、“分からない”って言いながら、“知ろうとしない”のが得意技だな。政治が難しい?そりゃそうだ。わざと分かりにくく作ってんだからな」
彼はスマホに宿る悪魔。
名前はスーマ。
「……で、相談者は“20代・女・選挙未経験・政治に興味はあるけど怖い”っと。なるほど、“政治アレルギー予備軍”だな」
スーマは画面をピカッと光らせた。
「まず言っとく。政治ってのは、“誰かが勝手に決めてること”じゃねぇ。お前の給料、税金、保険、物価、電車賃、全部“政治の結果”だ。つまり、“政治に関心がない”ってのは、“自分の生活に無関心”ってことだ。それ、ヤバいぞ?」
しばらくして、返信が来た。
「……でも、誰に投票すればいいか分からないし、調べるのも面倒で」
スーマは鼻で笑った。
「調べるのが面倒?じゃあ、増税されても文句言うな。“知らない”ってのは、“選ばない”ってこと。そして、“選ばない”ってのは、“誰かに選ばせてる”ってことだ。つまり、お前の人生を“他人任せ”にしてるってことだ」
翌日。
スマホに、短いメッセージが届いた。
「少しだけ、選挙のこと調べてみました。白票でもいいって知って、ちょっと気が楽になりました。ありがとうございました」
スーマは画面の中で、ふんと鼻を鳴らした。
「よし、ひとり政治アレルギー克服。選挙ってのは、“完璧な答え”を選ぶ場所じゃねぇ。“今の自分が納得できる選択肢”を探す場所だ。それがなければ、白票でもいい。でも、“無関心”だけは、絶対に損するぞ」
彼の声は、誰にも聞こえない。
でも、今日もまた、誰かの悩みに毒舌で答える。
スマホの中の悪魔は、今日も元気だ。
今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。
この話は「ナイトコードΩ 【残響の封印】」のスピンオフになります。
本編はこちら→https://ncode.syosetu.com/n5607ku/




