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スーマのスマホ相談室  作者: 神北 緑


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38/80

夜中に音がします。誰もいないのに

それはラップ音現象と呼ぶ。


スマホの画面に、ぽつんと届いたメッセージ。

「最近引っ越してきたアパートで、夜中に“コツン”とか“ギシ…”とか音がします。誰もいないのに。怖くて眠れません。これって……まさか……」


スーマは画面の中で、わざとらしくお札を貼った(演出)。

「またかよ。人間ってのは、“音”がするとすぐに“霊”のせいにする。それ、ただの“建築の老化”か“隣人の寝返り”だろ。……ま、100%とは言わねぇけどな」


彼はスマホに宿る悪魔。

名前はスーマ。


「……で、相談者は“20代・女・築30年の木造アパート・上の階は空室”っと。なるほど、“音の出どころが不明”ってやつか。それ、怖いのは“霊”じゃなくて、“構造”のほうかもしれねぇな」


スーマは画面をピカッと光らせた。

「まず言っとく。夜中の音の正体は、大体このへんだ

木造の“軋み” → 気温差で木が動く。ギシギシ言うのは仕様だ。

配管の“水圧変化” → 誰かがトイレ流すと、お前の部屋の壁が鳴る。

冷蔵庫の“霜取り” → カチッ、パキッ、ゴンッ。ホラー映画のSEかよ。

風で揺れる“窓・換気扇・カーテン” → 風の通り道が悪霊の通り道に聞こえるだけだ」


しばらくして、返信が来た。

「……でも、上の階、誰も住んでないのに天井から音がするんです」


スーマはニヤリと笑った。

「それは……うん、ちょっと怖ぇな。でも、まずは管理会社に確認しろ。“誰も住んでない”と思ってるのはお前だけで、実は“物置”になってるとか、“ネズミ”が住んでるとか、そういうオチもある。それでも何もなかったら……そのときは、俺が除霊アプリでも開発してやるよ」


翌日。


スマホに、短いメッセージが届いた。

「管理会社に聞いたら、上の部屋に古い家具が置いてあって、それが夜中に軋んでるそうです。ちょっと安心しました。ありがとうございました」


スーマは画面の中で、ふんと鼻を鳴らした。

「よし、ひとり“心霊疑惑”解決。怖いのは“霊”じゃねぇ。“知らないこと”だ。知れば、音は音に戻る。でも、もし次に“声”が聞こえたら……そのときは、また相談しろ」


彼の声は、誰にも聞こえない。

でも、今日もまた、誰かの不安に毒舌で寄り添っている。


スマホの中の悪魔は、今日も元気だ。


今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。

この話は「ナイトコードΩ 【残響の封印】」のスピンオフになります。

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