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スーマのスマホ相談室  作者: 神北 緑


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干支、なんで龍だけファンタジーなんだよ

龍虎って言うけど龍の方が強そうに思うのは私だけ?


スマホの画面に、ぽつんと届いたメッセージ。


「干支って、なんで龍だけ架空の生き物なんですか?他は全部、実在する動物なのに、不公平じゃないですか?」


スーマは画面の中で、盛大に首をかしげた。

「またかよ。人間ってのは、“伝統”って言葉に弱いくせに、ちょっとでも理屈が通らないと“なんで?”って騒ぎ出す。干支にツッコミ入れるとか、なかなかの暇人だな」


彼はスマホに宿る悪魔。

名前はスーマ。


「……で、相談者は“中学生・男・歴史好き・最近干支の順番に疑問を持った”っと。なるほど、“素朴な疑問が止まらない系男子”だな」


スーマは画面をピカッと光らせた。

「まず言っとく。干支の“龍”は、確かに架空の存在だ。でもな、あれは“間違い”じゃなくて、“格上げ”だ。古代中国では、龍は“皇帝の象徴”であり、“神聖な存在”。つまり、“干支の中に神を混ぜておくことで、暦に格を持たせた”ってわけだ」


しばらくして、返信が来た。

「……なるほど。でも、だったら他にも神話の動物入れてもよくないですか?」


スーマは鼻で笑った。

「欲張るな。龍は“唯一無二”だから意味がある。全部ファンタジーにしたら、それ“干支”じゃなくて“モンスター図鑑”だろ。あと、干支は“方角”や“時間”とも関係してる。龍は東南の守護、朝の9時〜11時を司る。つまり、ただの飾りじゃなくて、“宇宙のシステムの一部”なんだよ」


翌日。


スマホに、短いメッセージが届いた。

「干支って、思ったより深いんですね。ちょっと龍が好きになりました。ありがとうございました」


スーマは画面の中で、ふんと鼻を鳴らした。

「よし、ひとり龍信者誕生。干支ってのは、“ただの動物占い”じゃねぇ。古代人の知恵と信仰が詰まった、暦という名の宇宙コードだ。龍はその中で、ちゃんと意味を持って生きてる。……ま、実在はしねぇけどな」


彼の声は、誰にも聞こえない。

でも、今日もまた、誰かの疑問に毒舌で答える。


スマホの中の悪魔は、今日も元気だ。


今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。



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