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スーマのスマホ相談室  作者: 神北 緑


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30/83

やる気?そんなもん、どこに売ってんだよ

やる気スイッチ欲しいな!


スマホの画面に、ぽつんと届いたメッセージ。


「最近、まったくやる気が起きません。何もしたくないし、何も楽しくないです。どうしたらいいですか?」


スーマは画面の中で、盛大に寝転んだ(演出)。

「またかよ。人間ってのは、“やる気”っていう幻を追いかけて、勝手に疲れて、勝手に落ち込む。その“やる気”って、どこに存在してんだ?冷蔵庫か?洗濯機か?それとも、Amazonで売ってんのか?」


彼はスマホに宿る悪魔。

名前はスーマ。


「……で、相談者は“会社員・男・仕事も趣味も手につかない・休日は寝て終わる”っと。なるほど、“生きてるけど動いてない”タイプだな」


スーマは画面をピカッと光らせた。

「まず言っとく。“やる気”ってのは、“行動の後に出る副産物”だ。待ってても来ねぇ。呼んでも来ねぇ。“やる気が出たらやる”じゃなくて、“やったら出る”が正解だ。つまり、お前は“やる気待ち”してる間に、人生のバッテリー切らしてるだけだ」


しばらくして、返信が来た。

「……でも、何を始めたらいいかも分からなくて」


スーマは鼻で笑った。

「何でもいい。歯を磨け。部屋を片付けろ。靴を磨け。“意味のない行動”が、“意味のある気分”を呼び込む。やる気ってのは、“脳のエンジン”だ。まずはキーを回せ。エンジンかかってから、目的地を決めろ。今のお前は、“地図だけ見てガソリン入れてない”状態だ」


翌日。

スマホに、短いメッセージが届いた。

「部屋を片付けてみました。少しだけ気分が変わった気がします。ありがとうございました」


スーマは画面の中で、ふんと鼻を鳴らした。

「よし、ひとり始動完了。次は、“やる気”じゃなくて、“やる習慣”を育てろ。やる気は気分屋だが、習慣は裏切らねぇ」


彼の声は、誰にも聞こえない。

でも、今日もまた、誰かの悩みに毒舌で答える。


スマホの中の悪魔は、今日も元気だ。


今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。

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