ダイエットって、しなきゃダメですか?
ダイエット、それは悪魔のささやきかも?
スマホの画面に、ぽつんと届いたメッセージ。
「ダイエットって、やっぱり必要なんですか?周りがみんな痩せてて、自分だけ太ってる気がして……」
スーマは画面の中で、盛大にあくびをした。
「また“痩せなきゃ病”かよ。人間ってのは、鏡よりも他人の目ばっか見て、自分の価値を決めるのが好きだな」
彼はスマホに宿る悪魔。
名前はスーマ。
スマホに住み着いている悪魔。
「……で、相談者は“20代・女・職場の人に『痩せたらもっと可愛いのに』って言われた”っと。なるほど、他人の口に人生を乗っ取られてるタイプだな」
スーマは画面をピカッと光らせた。
「まず言っとく。“痩せたら可愛い”ってのは、“今は可愛くない”って言ってるのと同じだ。そんな言葉を真に受けるな。お前の価値は、体重計の数字じゃねぇ。それよりも、“誰のために痩せたいのか”をはっきりさせろ」
しばらくして、返信が来た。
「……自分のため、って言いたいけど、正直、他人の目が気になってました」
スーマは鼻で笑った。
「他人の目なんて、所詮は“通行人の視線”だ。お前の人生に責任も取らねぇ奴らの言葉で、自分の身体をいじるな。ダイエットが必要かどうかは、“健康”と“自分の納得”で決めろ。“他人の期待”で痩せるのは、ただの奴隷だ」
翌日。
スマホに、短いメッセージが届いた。
「少し食事を見直して、運動始めてみました。痩せるためじゃなくて、気持ちよく生きるために。ありがとうございました」
スーマは画面の中で、ふんと鼻を鳴らした。
「よし、ひとり解放完了。“痩せる”より、“自分を好きになる”方が、よっぽど難しくて、価値がある」
彼の声は、誰にも聞こえない。でも、今日もまた、誰かの悩みに毒舌で答える。
スマホの中の悪魔は、今日も元気だ。
今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。
この話は「ナイトコードΩ 【残響の封印】」のスピンオフになります。




