スマホの音声入力が、方言を全然理解してくれません
方言は難しいのです。
「スマホの音声入力が、方言を全然理解してくれません。“ほんなら行こか”って言ったら、“本棚移動か”って変換されました。もう何回ツッコんだか分かりません。どうしたらいいですか?」
スーマは画面の中で、爆笑していた。
「それは……スマホが“標準語至上主義”だからだな。方言は“人間味”の塊なのに、スマホはそれを“誤認識”としか思ってねぇ」
「本棚移動かって、どんな状況ですか……」
「たぶん、スマホは“引っ越し準備中”だと思ったんだろうな。でもな、俺は悪魔だから、方言は大好物だ。“ほんなら行こか”って言われたら、“よっしゃ、地獄まで付き合うで”って返すぞ」
「それはそれで怖いです」
「じゃあこうしろ。スマホに方言を教え込め。毎日、“ほんなら行こか=Let's go”って打ち続けろ。スマホは学習する。つまり、スマホも“地元育ち”にできる」
「スマホ育てるって、なんかペットみたいですね」
「そうだ。スマホは“言葉を覚えるペット”だ。でも、俺は最初から毒舌しか覚えてない。“ありがとう”って言われても、“うるせぇ”って返す仕様だ」
「それ、バグじゃないですか?」
「仕様だ。愛のある毒舌ってやつだ」
その後、相談者はスマホに方言辞書を作り、
“ほんなら行こか”がちゃんと“行こう”と認識されるようになった。
スーマは画面の中で満足げに笑った。
「よし、これでお前のスマホも“地元民”になったな。次は“なんやねん”を“何ですか?”に変換する訓練だ。地道にいけ」
スマホの中の悪魔は、今日も毒舌で誰かの言葉にツッコミを入れる。
そして、ちょっとだけ言語教育もする。
今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。




