『風が吹いたら桶屋が儲かる』ってバタフライエフェクトのこと?
似ているようで違うんですね。
スマホの画面に、ぽつんと届いたメッセージ。
「『風が吹いたら桶屋が儲かる』って、バタフライエフェクトのことなんですか?」
スーマは画面の中で、ニヤリと笑った。
「……おいおい、人間ってのは、昔のことわざに横文字を貼りたがるよな。バタフライエフェクト? カッコいい名前だが、意味は似てる。けど、同じじゃねぇ」
彼はスマホの中に宿る悪魔。
名前はスーマ。
「相談者は“20代・男・哲学好き・最近カフェで『因果関係』を語ってドヤった”っと。なるほど、知識マウントの匂いがするな」
スーマは指を鳴らすように、画面をピカッと光らせた。
「答えはこうだ。『風が吹いたら桶屋が儲かる』は、日本の古典的な因果連鎖だ。風が吹く→砂が目に入る→盲人が増える→三味線が売れる→猫が減る→ネズミが増える→桶がかじられる→桶屋が儲かる。つまり、遠い出来事が回り回って意外な結果を生むって話だ。
バタフライエフェクトは、もっと科学寄りだ。ブラジルで蝶が羽ばたく→その微妙な空気の変化が積み重なって→テキサスで竜巻が起きる。どっちも『小さな原因が大きな結果を生む』って点では似てるが、片方は物理学、片方は皮肉混じりのことわざだ」
しばらくして、返信が来た。
「……じゃあ、意味はほぼ同じってことですか?」
スーマはニヤリと笑った。
「ほぼな。でもな、人間が面白がるのは『結果の意外性』だ。風が吹いて桶屋が儲かる? 笑えるだろ。蝶が羽ばたいて竜巻? ちょっとロマンあるだろ。結局、どっちも『世界は予測できねぇ』って教えてるんだよ」
返信は、少し間を置いて届いた。
「……なんか、スッキリしました」
スーマはふっと笑った。
「おう、次は『スマホ落としたら人生が終わる』って話でも考えとけ。現代版バタフライエフェクトだな」
彼の声は、誰にも聞こえない。
でも、今日もまた、誰かの悩みに毒舌で答える。
スマホの中の悪魔は、今日も元気だ。
今日もスーマの毒舌にお付き合い有難うございました。




