表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/139

第8話。もうすぐ夜になります!

前回までの話では、ホワイトが目を覚まし、セリナ、レオ、ミランダ、サム、ジェイコブたちがホワイトを崇めていた。


それは騎士だからなのか?それとも神の使いである騎士だからこそなのか。


ホワイトはユリアに剣を向けるが、それは異端者としてではなく、「真実」を知るための行為だった。


ユリアは限界が来て泣き、そして「真実」を話した。ホワイトとユリアはお互いを理解し、みんなで新天地への道を進むことにした。

 ホワイトとユリアのわだかまりもなくなり、7人全員が協力して新天地を目指すことにした。今まさに計画を練っているところだ。6人は円になって話し合いをしていて、言うなれば雑談みたいな感じだった。


 ホワイトはヘルムと白いチュニックを脱ぎ、鎖帷子も外して軽装になる。装備をチェックして、剣と盾だけを持つ。心の中で呟いていた。


ホワイト(さらば、我が同胞たちよ……)


 目を閉じて、ヘルムと白いチュニック、鎖帷子を捨てることにした。


 それは異端者となったテンプル騎士団の彼の最後の姿だった。


 こうして彼は「ホワイト」として生まれ変わった。皆のところに戻ると、話が続いていた。


ミランダ「新しい土地はどこにするのさ?」


 ミランダは土地勘が分からないから、さっぱりだった。生まれてこの方、故郷から出たことがないからだ。


サム「俺はホワイト様が行く道なら、どこでも行くつもりだ」


 サムは単純だ。火の中、水の中までも行くだろう。でも、そこがサムの良い所だろう。


ジェイコブ「ヴェネツィアの魚料理が美味かったのぅ〜」


 ジェイコブは昔、ヴェネツィアに住んでいた記憶が蘇る。


(※ヴェネツィアの定番料理、ビゴリ・イン・サルサは魚介類の全粉を使ったパスタだった。サード・イン・サオールも定番の魚料理だ。)


レオ「お母さん〜お腹空いた〜」


 レオの腹の虫が鳴く。空腹だったのだ。母の袖を掴んで訴える。


セリナ「そうね〜夜が近いわね、お腹空くわよね」


 セリナはレオの手を握る。セリナもお腹が空いていた。空を見上げると、夕方が過ぎようとしていることに気づく。


ホワイト「ひとまず、ここから離れて狩りをしよう、ユリア姫、それでいいだろうか?」


 彼はユリアのことを「姫」と呼び添える。これは主に対する礼儀だった。


ユリア「私はあなたの主君じゃないのよ」


 姫と呼ばれるのは嫌いな方だった「そもそも貴族のご令嬢ではないのだから」


心の中で呟くユリアだった。


ホワイト「だが、あなたは我々の命を救ってくださった恩人、騎士が…」


 ホワイトは何故か途中で言葉が詰まってしまった。そして話題を切り替える。


ホワイト「夕方の食事にしよう、皆、お腹が空いているようですからな」


ユリア「そうね、結界を解除するわ、狩りはどこでするの?」


 狩り場が気になっていた。ユリアにとってこの世界での初めての狩りになるからだ。もっとも簡単な方法は知っている。


 それは魔法のストレージ内にある食事アイテムを使えば腹を満たせるだろう。しかし、ユリアは考えた。


 この世界での魔法ストレージ内のアイテムは貴重だし、緊急時以外は使わないことを決めたのだ。


ミランダ「狩りは魔術を使えばいいんだろ」


サム「ここは魔女様に狩りをお願いしよう、魔術使えるだろ?」


ジェイコブ「サム、ミランダよ、本当にそれでいいのかのぅ?」


 そんな2人の話を聞いたホワイトは、あることを伝えた。


ホワイト「どんな魔術かは知らないが、はっきり言わせてもらう、我は反対だ」


 彼は魔術を使うことに反対していた。眉間にシワを寄せる。それを聞いたユリアは…。


ユリア「ど、どうして反対なの…?」


「やっぱり私のことが嫌いなのかな…」ユリアは心の中でそう思っていた。


 ホワイトの顔をうかがうと、彼は一息ついて語りだした。


ホワイト「もし魔術を使ったら、ユリア姫はどうなろうか?無闇に使えば異端者の烙印を押されることになるのだぞ」


ホワイト「我々には我々の知恵がある、その知恵で戦えばよいのだ」


 彼はユリアに近寄り、頭を撫でる。ホワイトはユリアを子供だと思っている。確かに子供なのであろう。


ユリア(そうか、ホワイトは私を子供だと思ってるんだ)


 心の中で呟くしかなかった。言われてみれば、自分は外見が子供だから仕方ないことだと思っていた。


 だからこそ、ホワイトは私を危険から避けるために反対してくれたのね。ユリアはクスッと笑った。


ホワイト「ひとまず、森林へ向かう。軽い木を切って弓を制作するのだ」


 彼は森林へ向かうことを提案した。森林には動物が繁殖していて、狩り場にちょうどいいからだ。全員が頷く。


 ユリアは結界を解除する。ホワイトを先頭に、皆で森林へ向かう。ジェイコブの足の速さに全員が合わせる。


 時々、サムがジェイコブをおんぶして進む。歩くこと40分は経っただろうか。森林に到着した一行は早速、準備に取り掛かる。


 まずホワイトは切りやすい木を見つけて切り倒し、枝をもぎ取って簡単な弓を作る。そして枝から矢じりを作る。


それを見ていた一同は「さすがだ」と頷く。


ホワイト「では、狩りに行ってくる。みんなは安全なところにいてくれ」


 彼は自作の弓と矢を持って狩りに出かけた。ユリアはもう一度、周りに結界を張る。


 数時間が経っただろうか。するとホワイトが戻ってきた。しっかりと獲物を確保していた。ユリアは結界を解除してホワイトを中に入れる。仕留めた獲物は野良ウサギと野良イノシシだった。


 ホワイトは獲物を解体し始める。腎臓や胃を取り除く。それを見ていた一同は。


ユリア「ホワイトは、こういうの得意なんだね」


ミランダ「さすが騎士様だ、流石だ!」


サム「当たり前だ!騎士は修道長や主君といろんなところに行くんだからな!」


セリナ「クスッ、サムがまるで自分のことのように自慢してるわね」


ジェイコブ「サムはまるでホワイト殿の従士みたいじゃな」


レオ「なんだか、美味しそう〜」


 まずは焚き火を用意するために、木の枝を探すことにした。ホワイトは乾いた木の枝を見つけて折った。「パキッ」という音がした。


ホワイトは頷いて、「これがいいだろう」と心の中で呟く。


焚き火には火が必要だからだ。


 ホワイトはお気に入りの火打石や火打金を使って火を起こす。


(※火打石は石と石を擦り合わせて火花を出すもので、黄鉄鉱フリントとも呼ばれる。昔はメノウ、玉髄、チャート、ヒスイ、黒曜石なんかも使われていた。)


 時代によって変わってきたが、無論、中世ヨーロッパだけじゃなくて、日本の戦国時代でも使われていた。さて、話を戻そう。全員が焚き火の近くに寄って、お肉を枝で刺して焼き始める。


 女性陣は事前に水を汲んできてくれていたから、水分補給も心配なしだ。お肉が焼けるいい匂いが漂う。結界の中では匂いも外に気を使わなくて大丈夫だった。


 焼けたお肉は、最初にレオから順番に渡されていた。


レオ「おいしい〜!うまいよ、お母さん!」

あまりの美味しさに、レオはほうばっていた。


セリナ「ほら、慌てないで。お肉は逃げないから」

彼女は我が子の口の周りを拭いてあげる。


ミランダ「く〜、美味いね〜ホワイト様!」


ユリア「ん〜、なんだか久しぶりに食べる気分!」


 ユリアもお腹が空いていたのか、美味しそうに食べていた。


ジェイコブ「うむ、美味いのぅ!ホワイト殿よ!」


 ホワイトは、ジェイコブが食べやすいように肉をカットしていた。今で言う「肉バラ」だ。


ホワイト「はは、みんな、慌てずに、ゆっくり食べような」


 彼は皆の食べっぷりに喜んでいた。そして、ホワイトは空を見上げる。空は暗闇に包まれようとしていた。


ホワイト(もうすぐ夜か……)


こうして、夜を迎えようとしていたのだった。

次回、第9話。もうすぐ一日が終わります!。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ