第63話。大都市リヨンは今日中に到着だ!。
前回までの話では、ユリアは魔法を使い井戸水を浄化する。そして5人は井戸を使う。
レオは一人で馬車の中に居た。ホワイトはレオと一緒に井戸へと向かうが…。
第63話。大都市リヨンは今日中に到着だ!。
ホワイトとレオは馬車に戻り、ユリアたちと合流して朝食の誘いを伝えた。4人はその話を聞いて喜んだ。しかし、ユリアはホワイトから叱責を受けた。時刻は午前7時を過ぎていた。
サムは外部に声が漏れないよう見張りをしていた。
ホワイトはユリアに尋ねた。「ユリア姫、以前、元世界には異なる種族が存在すると話していたな?」
ユリアは驚いた様子で答えた。「どうしたの?急にその話を?」
セリナ「ホワイト様、その話にご興味がおありですか?」
ミランダが割って入った。「その話は朝食後にすればいいだろう!」
レオ「そうだよ!早く食べに行こうよ!」
ジェイコブ「うむ、皆が廃墟の家に集まっているかもしれんのぅ」
ホワイト「では、移動しながら話を聞こう、ユリア姫」
ユリアたちは外に出て、ホワイトの誘導で前夜にジーノを気絶させた廃墟の家に向かった。ホワイトとユリアは並んで歩きながら話を続けた。
ユリア「さっき種族のことを言っていたけど、具体的に何を知りたいの?」
ホワイトは髭を撫でながら答えた。「種族について詳しく教えてほしいのだ」
ユリア「そうね、エルフ族、ドワーフ族、オーク族、獣人族…それから…」
ユリアは出会ったすべての種族について説明した。
ホワイトは心の中で考えた。「3日前に出会った魔法を使う女性は、普通の人間だったのか…」
レオ「お姉ちゃん、獣人ってどういう特徴なの?」
ユリアは言葉で説明するのが難しいと感じ、両手を使って身振りで伝えた。まず両手を頭に当てて「耳」を表現し、次に手を後ろに伸ばして「尻尾」を模した。
その動作を見た一同は驚愕した。
ユリアはすべての種族の特徴を詳しく説明し終えた後、疑問を投げかけた。「ホワイト、なぜ急に種族の話に興味を持ったの?」
ホワイトは腕を組み、皆の顔を見回しながら答えた。「我々は、異なる種族と出会った際の対策を考えておく必要があるのではないのか?」
サム「突然出会ったら混乱しますからね…」
ジェイコブ「うむ、情報の共有は何よりも重要じゃのぅ」
セリナ「相手も同じことを考えているかもしれませんね」
ミランダ「まあ、実際にその時が来れば分かるさ」
7人は雑談しながら廃墟の家へと到着した。
廃墟の家。もはや誰も住んで居ない家である。そして前夜にジーノを気絶させた場所の古家である。
外では数人の護衛隊が周辺を警戒していた。
するとドナテッロ組長がユリアたちに近づく。
ドナテッロ組長「おぅ、来たか、老人、女性、子供は中で食べて来てくれ!」
セリナは頭を深く下げる「ドナテッロ様、感謝致します」
ドナテッロ組長「がはは!礼は、この家の主だな、もう居ないがな!」
ユリア、レオ、セリナ、ミランダ、ジェイコブは家の中で食事する。
外ではドナテッロ組長、ホワイト、サム、そしてジーノたちであった。
家の中では…廃墟された故か、少し埃が至る所にあるが、そこまで酷い状態ではなかった。
前夜は暗かったせいもあるが、まだ廃墟になって間もないのかも知れない。
簡単な木製テーブルを準備していた。フィリッポが近寄る。「ホワイト様のお連れ様、是非、堪能してください」
テーブルには朝食に相応しい食べ物であった。商人ギルド特製パン。野菜物。果物は綺麗にカットされたリンゴ。そしてお菓子にはクッキーが準備されていた。
それを見たユリアたちは喜ぶのである。
しっかりと椅子も用意されていた。椅子に座るのであった。
ジェイコブ「こりゃ、美味しそうじゃのぅ!」
レオ「美味しそう〜!食べてもいい?」
セリナ「レオ、お祈りを…」
フィリッポは笑う。「いえいえ、お気になさらず!我々はキリスト教ではないので!」
ユリア「それじゃ〜いただきますー!」
ミランダ「行儀よく食べな!」
そして家の外ではドナテッロ組長たちは簡単な木製箱をテーブルと椅子代わりに使用していた。皆で円になって食事をする。
食事を食べながらドナテッロ組長が話す。「大都市リヨンには今日中につくだろう」
ホワイト「ドナテッロ組長、この恩は決して…」
ドナテッロ組長は笑う。「よせ!まだ到着してないぞ!」
サム「まだ未熟な従士ですが、お役に立てるよう頑張ります」
ジーノは小声でつぶやく。「ふん、力でしか解決出来ない主が!」
サム「なんだと…?貴様…!」
ホワイト、ドナテッロ組長「サム!ジーノ!これ以上の争いは許さんぞ!」
2人は同時に言葉が重なる。ホワイトとドナテッロ組長は顔を見合わせ。高笑いするのである。
こうして7日目の朝食を摂ったのであった。
次回、第64話。今こそ、団結なのにゃ!。