第57話。我はな、少女にやられた男だ。
前回までの話では、組長はユリア一行に自己紹介をする。その時、ミランダは「従士」と伝える。その言葉に護衛隊が反応し、嘲笑う。ミランダは限界がきて、
いつしか、ミランダと隊員の決闘へ…。
ミランダと護衛隊のジーノ隊員の決闘は、ジーノの圧勝に終わった。決闘を終えて、時刻は正午を過ぎ、間もなく13時になろうとしていた。
ユリアたちは昼食の時間を逃していた。強気な性格のミランダが泣いている。
護衛隊の隊員たちは、依然としてミランダを嘲笑っていた。ミランダは四つん這いの状態で、悔しさのあまり地面の草を強く握りしめていた。
剣を渡した若い隊員が剣を拾い上げ、護衛隊の隊員たちは元の位置に戻っていった。
その一部始終を見ていたユリアたちは、次のように会話を交わした。
ユリア「何よ、馬鹿にして! ミランダ、大丈夫?」
セリナ「今はそっとしておきましょう」
レオ「お姉ちゃん、耳が痛いよ!」
サムは心の中でつぶやいた。「同じ弟子なんだ、俺たちは…ミランダ」
ジェイコブ「うむ、これも試練なのじゃ…」
その時、ホワイトがミランダに近づき、大声で語りかけた。「いかん、言い忘れていた!」
その大声に、先ほどの護衛隊の隊員たちが振り返った。「ん? 何だ? 急に大声で?」「あの男が主なのか?」
ホワイトはためらうことなく話を続けた。「実はな、闘技場で、ある少女と出会ったのだ」
サムはホワイトの意図を察し、驚いた。「なっ! ?ホワイト様……!」
ホワイト「その少女がな、めっぽう強かったのだ」
ミランダは四つん這いのまま顔を上げた。「え……? 少女……?」
ホワイト「我を……打ち負かしたのだ!」
護衛隊の隊員たちは高笑いした。「そりゃ、大人の男が勝つさ!」「少女に負ける馬鹿なんていないだろう!」
ドナテッロ組長は心の中でつぶやいた。「馬鹿はお前たちだ。ホワイトの言葉をよく聞け」
ホワイトはミランダを見つめて語った。
「我はな、少女にやられた男だ」
ミランダは心の中で何かが弾けるような感覚を覚えた。これまで馬鹿にされていた自分だったが。
ホワイトの言葉によって、「女性でも男性に勝てる」と励まされたような気がした。
その言葉を聞いたフィリッポが、突然「あっ!」と驚いた。
フィリッポはドナテッロ組長に耳打ちした。それを聞いたドナテッロ組長は目を大きく見開いた。
ドナテッロ組長「あのウサギと少女の闘いか!」
ホワイトは腕を組み、話を続けた。「闘技場では、約30人が集まり」
そしてホワイトは一息ついて「我の最後の決闘相手が、なんと少女だったのだ」
ドナテッロ組長は心の中でつぶやいた。「ホワイト、お前は名誉を捨てる覚悟か」
ホワイトは突然高笑いした。「我は完全な敗北を喫したのだ、ははは!」
ホワイトは片膝をつき、ミランダの目線に合わせて語りかけた。「ミランダ、立て」
ホワイトはミランダに手を差し伸べた。
ミランダは腕で涙を拭い、手を取り、立ち上がった。
ホワイトは、ミランダが四つん這いになった際に、彼女のシュールコーが汚れていることに気づいていた。
ホワイトはミランダの両脚を軽く叩いて埃を払った。 ミランダは少し顔を赤らめた。
(※シュールコー。13〜14世紀のゴシック時代、女性がコットの上に重ねて着用した、頭からかぶる単純な形状の衣服。上半身と下半身が縫い合わされた一枚の服)
(※15世紀には袖付きのシュールコーが流行し、貴族女性の間ではスカートや装飾で個性を表現することが一般的だった)
ホワイト「ミランダ、我が弟子よ、立派な決闘だった」
ミランダはその言葉に涙を一粒こぼした。
そこへユリアたちが近づいてきた。
ユリア「ミランダ、昼食を忘れてるから!」
セリナ「ユリア、ここは励ます場面ですよ」
レオ「今度は肉が食べたいな!」
サム「確かに、馬車の中ではパンだけだったからな」
ジェイコブ「うぬ!ミランダよ、よ〜闘ったのぅ」
ミランダ「ホワイト様!その少女の話、後で聞かせてもらうよ!」
ホワイトは小さく笑った。「承知した、ミランダ」
護衛隊の数人がつぶやいた。「馬鹿な、少女が勝っただと…?」「おい、そんな話があったのか?」
ドナテッロ組長が護衛隊に近づき、伝える。
「帰ったら酒場で聞いてみろ。『ウサギと少女』の話が聞けるはずだ」
フィリッポ「ドナテッロ様、そろそろ出発いたしましょう」
ドナテッロ組長「おう、そうだな。ホワイト、そろそろ出発するぞ!」
ホワイトはそれに頷いた。
そしてホワイトは心の中でつぶやく。
「弟子の為なら名誉、名声も捨てようぞ」
次回、第58話。休憩は終わりだ!。進むぞ!。




