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第55話。いいか、休憩は大事だからな!。

前回までの話では、ユリアと同じ世界から来た者がいた。その者たちは『島』ごと転移してきた者たちであった!。


その王は魔王軍に参加した事を悔やむ…。

 第55話。いいか、休憩は大事だからな!。


 ユリア一行の幌馬車は、交易隊とともに北上していた。時刻は午前10時を過ぎ、合流から2時間が経過していた。リヨンまでの距離は依然として長く、交易隊は急がず着実に移動を続けていた。


御者席では、ホワイトとフィリッポの会話が弾んでいた。話題は過去の思い出だった。


フィリッポ「ホワイト様は養子だったのですね」


ホワイト「両親とは死別したため、ある騎士の方に養子として迎えられたのです」


フィリッポ「その方は立派な騎士なのでしょう」


ホワイトは心の中でつぶやいた。「フィリッポ殿は、私の養父がどの騎士なのか尋ねないのか」


フィリッポ「どうかされましたか、ホワイト様?」


ホワイトは微笑んだ。「いや、フィリッポ殿は立派な方だ」


フィリッポは少し顔を赤らめ、「はは、ホワイト様、ご冗談を」と答えた。


一方、御者席の後部荷台では、いつもの雑談が始まっていた。


ユリア「ねえ、リヨンには今日中に着くの?」


セリナ「明日には到着する予定ですよ」


レオ「え〜、今日は野宿なの?」


ミランダ「仕方ないだろう、レオ」


サムは心の中でつぶやいた。「妖精だから…大丈夫だ…次は謝ろう…そうしよう」


ジェイコブは遅めの朝食をとりながら、パンをかじりつつ言った。「サム、考え事かのぅ?どうしたのじゃ?」


ユリアはわざと涙をこぼすふりをした。「サムはね…妖精さんを…うっ…今思い出すと…」


サム「おぃ?今、『妖精』って言ったよな?」


ユリア「言ってませ〜ん!『精霊』って言いました〜!」


セリナはくすっと笑い。「本当に仲が良いわね、サムとユリアは」


ユリアとサムは同時に「違うわよ!」「全然だぞ!」と声を揃えた。


ミランダは心の中で呟いた。「まるで兄と妹だよ」


御者席では、後部荷台の様子が気になるホワイトだった。6人の会話は、車輪の音と馬の蹄の音にかき消された。それを見たフィリッポは、くすっと笑い、こう言った。


フィリッポ「ホワイト様もご苦労されているのですね」


ホワイト「はは、フィリッポ殿、恥ずかしい限りですよ」


その時、護衛隊の隊員が近づき、こう伝えた。「1マイル先に丘が見つかりました。そこで休憩を取るとの指示です」

(※1マイルは約1km)


フィリッポ「承知しました。伝言を受け取りました」


護衛隊の隊員は元の位置に戻る。


ホワイト「管理も徹底しているのだな」


フィリッポは小さく笑う。「ドナテッロ組長の口癖は『いいか、休憩は大事だからな!』なんです」


ホワイトは大声で笑う。「はは!ドナテッロ組長らしい言葉だ」


そして、ホワイトは心の中でつぶやく。「長距離では馬も疲れるだろうな…」


時刻は午前10時半を過ぎていた。丘が近づくにつれ、交易隊は速度を落とし、丘に向かう。


平原の丘は見晴らしが良く、標高もやや高くなっている。


ドナテッロ組長がこの丘を選んだ理由は、急な襲撃にも対応できるためだ。


まず、数人の護衛隊が偵察に向かい、周囲を確認後、「異常なし!」と報告する。


交易隊は丘に到着し、密集陣形に切り替える。護衛隊はその外側を囲む。


ホワイトはその統率ぶりに感嘆する。「おお、まるで軍隊のようだ!」


それに対し、フィリッポは笑う。「ホワイト様の驚いた表情が実に素晴らしい!」


二人は顔を見合わせて大笑いする。


交易隊の御者たちは次々に馬車から降り、馬を撫でる者もいる。ドナテッロ組長は背伸びをする。


ユリアたちも馬車から降り、一斉に背伸びをする。


ユリア「空が晴れなら文句なしね」


セリナ「そうね。雨が降らないことを祈りましょう」


サム「雨が降ったら馬車の中に避難しよう」


ジェイコブ「む?誰か来るのぅ」


レオ「お金持ちの人だ!」


ミランダ「レオ、くすねてきな!」


ドナテッロ組長「がはは!お嬢さん、聞こえてるぞ!」


一方、ホワイトはドナテッロ組長に頭を下げる。「ドナテッロ組長、失礼をお許しくだされ!」


ドナテッロ組長「気にするな、ホワイト!」


ユリア一行はドナテッロ組長に軽く会釈する。じっと見つめる者もいる。


ホワイトは心の中でつぶやく。「白髪がさらに増えそうだ」


こうして、丘での休息が始まった。護衛隊の者たちはその様子を見守る。

次回、第56話。女が戦士で何が悪いだい!。力を見せてやるさ!。

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