第5話。私の名は。我の名は。
前回までの話では、少女が連れ去られながら町に向かっていた。そして町では200人の騎士に包囲されて襲撃されていた。その騎士団の名前は・・・聖ヨハネ騎士団だった。町は異端の者たちとして討伐されていたんだ。そして、ある騎士と出会い、彼を助けるために少女は意を決してテレポートの魔法を使ったのだった。
何故だ……。我は若い頃の記憶がいきなりよみがえる。あの時は確か主との思い出だ。思い出したぞ。あの時は……我はまだ従士だった。
国同士の大規模な戦争があって、俺と主はその王に仕えていた。それも騎士の務めだ。神を信じ、王の護衛をすることが任務だった。
それが我々、テンプル騎士団なのだ。元々は巡礼の護衛だけを目的に設立された修道会だったはずだ。なのに、なぜなのだ……。
異端の烙印を押され、仲間の数人が他の神を崇拝しているだけで「異端者」扱いされたのだ。組織が大きくなりすぎたのだ。これは神からの天罰に違いない。
我は心の奥深くそう思ったことがあった。
あぁ、我が主……。もう十分に闘った、我もそちら側へ。
彼の深い記憶の中にある出来事を振り返る。テンプル騎士団が異端者として皆殺しにされていた。
オーランド騎士。お前は逃げろ! 生き延びろ!。
オーランド様!? 何を言ってるんだ!?
オーランド騎士。テンプル騎士団が滅んでも魂は永遠なのだ! 生きろ! 生き延びるのだ!
オーランド様! なんでだ。一緒に逃げよう! 俺を騎士にしてくれる約束だろ!
オーランド騎士。お前は既に立派な騎士さ。称号を与える暇が無い。
民を救え! 弱者を! 真実から目を離すな! それがお前の……。
お前の…!? お前の後は…?
なんでだ? その先の記憶が思い出せない。
そうか俺は既に浄化されて天国に行く寸前なのか。
確か、俺は騎士に襲われていた親子を助けて…母親と子供を助けて……。
そして、あの子だ。あのご令嬢の子を守りながら…眩しい光だ、白い光が地面から。地面に紋章みたいなものが浮き上がって…何かがおかしい。
魂は天に帰る。
なのに、なんで? 身体が揺れる? 俺は……。
お……き……な……さ……い。
いい加減に起きなさい! おじさん!
あの子の声か? 俺は目を見開く。ガバっと上半身を起こした。すると目の前にいたのは……。
魔法使い少女「ようやく、起きたわね!」
老騎士「おぬしは? ご令嬢の!?」
魔法使い少女「何が、ご令嬢なの?私はね!」
私はフッと思った。ここで正体を教えるべきなのか。異端者と見て私を襲うに違いない。違う、彼はそんなことをしないわ。
ふぇ!? なんで私、「そんなこと」って思ったのかな…不思議だったわ。
数人の村人とこの老騎士とテレポートしたけど、一つだけ分かったことがある。
テレポートを成功させるには自然魔力が必要なのに成功したわ。
自然魔力は空気中にしか存在しないのに…ここは本当に地球なのよね? 私の世界と自然環境が似てるのかしら。
心の中で考えてると数人の村人が老騎士に近寄る。
なんと、さっき救った親子連れだ。子供がお礼を言うために老騎士を追いかけてきたのだと、母親が言う。
母親は老騎士に近寄り、祈るように座り込む。そして母親はこう言った。
セリナ「騎士様、名誉あるお名前を教えてください。私はセリナと申します」
老騎士が救った親子の母親は「セリナ」と呼び、子供を近くに呼び寄せる。
セリナ「この子の名前はレオと言います」
セリナは子供を座らせて老騎士の目の前に向けさせる。
レオ「き、騎士様!ありがとうっ!」
レオは緊張しているのか、声が震えている。
すると老騎士は、レオの頭を優しく撫でて微笑んでいた。
魔法使いの少女は先程のことを思い出す。そうだよね、異端者だってわかっているのに殺さない。それはこの老騎士が異端の「真実」を知っているからなんだ。
よし!私も真実を伝えなきゃ!勇気を出して老騎士の前に立つ。そして深呼吸して言う。
魔法使い少女「あなたの名前を教えてください!」
ビシッと決めポーズをして指を指す。
セリナとレオは驚く。
セリナとレオ以外にも数人の老若男女がいる。いつの間にか老騎士を中心に円になっていた。
するとレオがすかさず白いチュニックを見て名前を呼ぶ。「ホワイト様!」と。セリナは驚いて謝る。
それを聞いた老騎士は高笑いする。立ち上がり、剣を抜いて叫ぶ。
「我が名はホワイトである!」こうして老騎士はホワイトと呼ばれた。
それを聞いた村人たちは笑いを堪える。そしてホワイトは次に言った。
ホワイト「ご令嬢は何とお呼びすればよろしいのですかな?」
彼は剣を鞘に納め、少女を見つめる。
ユリア「私の名はユリアよ」
少女は「ユリア」と名乗った。
ホワイトとユリアはお互いを見つめていた。こうして2人の名前が明かされた。
そしてユリアは決意する。魔法を打ち明かすことに。
第6話。もう怖いのは嫌なのでスローライフ始めます。




