第38話。謎の妖艶女性…現れる!
前回までの話では、ウサギ(ホワイト)は決勝戦へと臨む。28人越しの無敗であった…。そして最後の29人目、少女剣闘士との闘いが始まった…。その少女は明らかに違ったオーラを感じたウサギは…。ユリアと重ねっていた…。
そして…遂に勝敗が決まった時…。少女は…。
ホワイトは闘技場から去っていた。初めての敗北を味わったホワイトは。
自分の「齢」を呪ったのである「もう我々の時代は終わるのか」ふと空を見上げると、いつの間にか暗くなっていた。
街の外はランタン(街灯)で照らされていた。時刻は午後19時を回っていた。前もって松明を貰っていた。
少し中世ヨーロッパの「夜事情」について触れておこう。中世ヨーロッパでは、日没前に就寝するのが当たり前であった。
暗くなる前に家に戻り、寝るのだ。日没後に寝て、深夜に目覚めたらもう一度「二度寝」するのが風習だった。
夜は大抵、巡回する兵士か、または夜に悪事を働く者しかいないほど静まった時間だった。
そして、キリスト教の信者たちは夜を不吉として「悪魔」がいると信じる者もいた。話を戻そう。
ホワイトは宿屋を探すために移動する。しかし、ここで一つ気づくのである。
ホワイト「む!しまった…宿屋の場所を決めていなかったか」
彼は別れ際に「宿屋」のことを伝え忘れていたのだ。「確かサムには伝えた」とブツブツとつぶやく。
すると巡回兵士が近寄ってくる。手には松明を持っていた。
巡回兵士「貴様!そこで何をしている!」
ホワイト「怪しい者ではない。今、闘技場参加が終わって帰るところなのだ」
巡回兵士「そうか、あの闘技場か!俺も見たかったよ」
ホワイト「ところで、この近くに宿屋はあるのだろうか?」
巡回兵士「それなら二箇所、この先の曲がった角に宿屋がある、店主は夜は滅多に出ないがな」
巡回兵士「もう一箇所は馬繋場のところに宿屋があるが、そこは人気があるから運だな」
ホワイト「かたじけない、感謝しよう」
巡回兵士「今日は良い一日だ!ウサギと少女のお話だからな!帰ったら妻と子に聞かせるのさ」
そう言って巡回兵士は去っていくのである。
ホワイトは心の中でつぶやく「むぅ?ウサギと少女……いや……まさかな……」
彼はとにかく、先ほど説明された2箇所の宿屋へ寄ることにした。
まずは、この先の角の宿屋へと向かうことにしたのだ。すると道中で謎の光が見えた。
ホワイトは一瞬考えた「あの光は魔法ではないのか!」
ユリア姫かもしれない。ホワイトは光のある方へと向かっていったが、光は突然消えてしまった。
ホワイトはつぶやく「明らかに松明の光ではない……これは……!」
あら……ふふ……魔法源の匂いがしたから。
同胞がいるのかしら……ふふ……近いわ……。
何者だ!答えよ!それは魔法か!?
まあ……魔法を知っているのね。
なんて……なんて……素晴らしいの!!
ホワイトの後ろにふわっと移動した女性。
ホワイトは身構え、すかさず松明を向けると、そこには一人の女性が立っていた。
だが女性は魔法の力で松明の火を打ち消した。
松明の火で一瞬だけ相手の容姿が見えた。
その女性は「妖艶」な雰囲気を漂わせていた。
肌の露出が多く、時代の服装とは異なるものを着ていた。そして髪は「赤毛」で、ユリアと同じロングヘアーだった。
口調は上品で落ち着いた喋り方であった。体格は8頭身でスリムな体型で、現代で言うとモデル体型である。
松明の火を消したのは水魔法だな。
まぁ!水魔法さえも知ってるのね〜。
我の手が濡れてるからな。
そうだわぁ〜、あなたの闘う場面の姿。
我を知っているのか?何者だ?
うふふ〜、知っているわよ、あなたのことを。
ねえ、一緒に世界を手に入れない〜?
それは…王女になるということなのか。
王女なんて小さなものよ、私とあなたなら。
いけないわ、そろそろ行かないと〜。
妖艶な女性は「さよなら、私の王子様。ふふ……」と言い残し、まるで神隠しのようにふわっと消えてしまった。
ホワイトは胸を撫で下ろし、内心では誘拐されるのではないかと久しぶりに「弱気」になったのであった。
こうしてホワイトは宿屋を目指すのである。そして、一つだけ分かったことがあった。
ユリアも妖艶な女性も、魔法使いは皆「変人」なのかとホワイトは呟く。
次回、第39話。今日も一日が終わりますね。




