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第37話。おじさん……強いね……。私はジャンヌ。

前回までの話では、ホワイトは観衆から「ウサギ」と呼ばれていた。亡きオーランドの教えを実行に移す…。その知恵で難を逃れる。


次々と対戦相手を脱落させていく。そして遂に決勝戦へと進むのである…。

 ホワイトは決勝戦へと進む。そして最後の対戦相手は。あの剣闘士たちが嘲笑していた少女剣闘士であった。


少女剣闘士はゆっくりと位置へとつく。ホワイトは連戦で少し呼吸が乱れていた。


それでも、熟練の「元騎士」は健在であった。


ホワイトは身体中にいきなり電流が流れる感覚に陥る「この小娘!ただ者ではない!」とつぶやく。


少女剣闘士の武器はシミターだった。


この武器は中東のもので、形状が独特である。湾曲した曲刀であり、別名シャムシールとも呼ばれていた。


少女剣闘士は不思議な構えをする。その構え方は片足立ちである。


少女剣闘士は瞼を閉じ、独り言をつぶやく「はい…神様……聞こえます……勝利を捧げます」


そして、ゆっくりと瞼を開ける。


ホワイトはその異様な光景に覚えがある「ユリア姫ではないか!」と心の中でつぶやく。


ホワイトは自分の手を見つめていた。剣を持っている手が震えている。


ホワイトは心の中で考える「ば、馬鹿な、我が怯えているのか!?」「今、誰と話していた?魔法の類いなのか?」


ホワイトはちらりと観衆の方を見つめる。観衆からは、「ウサギがまた勝つぞ!」「子供相手だからな、手加減してやれ!」など。


たくさんの声が聞こえてくる。


そのとき、少女剣闘士は「手加減」に反応したのか、ホワイトに向かって話しかけてくる。


少女剣闘士「手加減だめ……本気で来て……」


ホワイトと少女剣闘士の戦いが幕を開けた。


少女は「若干12歳ぐらいか。歳はユリア姫と同じぐらいだろう。」とホワイトは心の中でつぶやく。


すると少女剣闘士の表情が変わり、ホワイトは一歩下がってしまう「まさか、我が退いたのか!」と心の中でつぶやく。


これは本能だ、本能的に退いたのだ。


ホワイトと少女剣闘士はお互い心の中でつぶやく。


ホワイト&少女剣闘士「この娘は!おじさん……できる!」


お互いを強敵と見たのである。ホワイトは幾千の修羅場をくぐり抜けてきた経験の持ち主だ。本能、直感、相手の技量がわかる。


今まで対戦してきた28人の剣闘士より、この「少女」の方が強いと見ていたのだ。お互いの動きを見る。すると少女剣闘士が話しかけてくる。


少女剣闘士「おじさん……年配の方からって言うでしょう……」


少女剣闘士「大丈夫……殺さないから……」


少女剣闘士の口調は穏やかであり、話すトーンもゆっくりしている。普段からこのように話すのかもしれないが、それは少女が冷静である証拠だ。


そして鐘の音が鳴り響く。2人はダッシュし、剣戟が激しく衝突する。しのぎを削り合った結果、摩擦が生じ、火花が散った。


1合から40合まで続いた。「合」とは、刃物同士が一度打ち合った数を指し、しばしば一騎打ちなどで使用される。


そして、お互いにパリィを披露する。パリィとは、寸前の攻撃を受け流すことであり、タイミングが重要だ。


観衆たちは、いつの間にか200人全員が無言で2人の戦いを真剣に見つめていた。


最初は一瞬で終わるだろうと予想されていたが、少女が泣く場面を200人全員が想像していたからだ。


すると少女剣闘士は「いなせ」を見せた。ホワイトは一瞬よろけ、体勢を整えるために5歩後退した。


ホワイトは心の中でつぶやく「ば、馬鹿な!いなせとは!」


「いなせ」とは、相手の力を利用してよろけさせる技であり、力の逆方向を向けることで相手は転ぶことがある。


それを少女が披露したのだ。ホワイトの呼吸が荒くなる。ヘルムを脱ぎ捨てる。ホワイトは汗をかいていた。そして少女剣闘士は再び話しかけてくる。


少女剣闘士「休憩する……?汗が大変……」


ホワイト「なんと、お優しいお嬢様ですな」


少女剣闘士「万能な……状態で……闘いだけ……」


ホワイトは心の中でつぶやく「これはユリア姫以上だな。」汗を手で拭い取る。


時刻は既に午後17時を過ぎ、もうすぐ夜が近づく頃だろう。


観衆たちは声を上げる「ウサギ!まだ終わるな!」「お前の力を見せてやれ!」


そして観衆の女性たちは「小さな姫剣闘士様!そんな男を見返してやりなさい!」「女の意地を見せてやりなさい!」


それを聞いていたホワイトと少女剣闘士はお互いの顔を見合わせ、微笑む。

 

そして2人は決着をつけるべく、最後の一撃に挑む。


ホワイト「我は負けられぬ!あの子たちのために!」


少女剣闘士「あの子達……?だからなんだね……」


そして…。2人は最後の一撃を放つ…。


我は…ま…けられぬ…ユリア姫…。


もういいんだよ……おじさん……強いね……。


観衆たちは一斉に立ち上がり、拍手喝采が起こった。200人同時の拍手は天まで届く音がした。


闘技場の主が立ち上がり「実に素晴らしい!これが闘技場なのだ!」と拍手喝采した。


その顔には満足な微笑みが浮かんでいた。すると、次々と剣闘士たちがホワイトの近くに集まってきた。


それは、ホワイトと対戦した剣闘士たちであった。驚くべきことに、30試合で誰も死ななかったのである。


ホワイトを囲む29人の剣闘士たち。最初に闘った軽装の剣闘士と三回戦で闘った重装備の剣闘士がホワイトを抱えた。


闘技場の主は拍手を続けながら全員の前に立った。ホワイトは気絶から目を覚まし、目を見開くと全員がホワイトを見つめていた。


そして受賞式が開かれた。優勝したのはあの少女である。闘技場の主は言葉を述べ、金貨15枚と名誉を授与した。こうして闘技場は終了し、次の開催はまた来年だと告げた。


ホワイトは控え室に戻っていた…。まさか少女に負けるとは思ってもみなかった。彼は年齢の現実に直面していた。すると、一人の少女が入ってきた。


ホワイト「お主は…!あの時の娘か!?」


少女「これ上げる……受け取って……」


ホワイト「こ、これは!金貨5枚も!」


少女「今日……楽しかった……。また会おうね……」


ホワイト「ま、待たれよ!お嬢さん!」


ホワイト「なぜ?闘技場に参加を?」


少女「父様、母様の為……今日、観光に来た……」


少女は振り返り、微笑みながらこう言った。


私の名前は。ジャンヌ・ダルク。

次回、第38話。謎の妖艶女性…現れる!。

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