表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/139

第34話。白き騎士!闘技場に出る!?(前編)

前回までの話では、一行は最北端を目指す。そしてホワイトはユリアの愛弟子をどう探すのか模索した。馬車の中ではユリアの「お母さんごっこ」が炸裂していた。道中、すれ違う馬車に街トリノと大都市リヨンを勧められた。一行はトリノを目指す…。

 一行はトリノに向かっていた。御者との別れから2時間が経過し、時刻はおよそ9時であった。天候は依然として晴れていた。


トリノは、イタリア半島北西部に位置する都市で、ローマ帝国時代にはガラス製造が栄えた。


屋根は茶色系で統一されており、高台から見るその景色は絶景であった。


また、トリノはアルプス山脈に最も近い都市の一つであり、周辺は山と丘に囲まれている。


16世紀(西暦1500年)頃からサヴォイア家が統治するようになり、1861年のイタリア統一後にはイタリア初の首都となった。


これは遠い未来のお話しである。話を戻そう。


トリノはジェノヴァの北西約124km(約406,824フィート)に位置する。この距離は現代の自転車で約12時間かかる計算である。


幸い、前日に十分な距離を進めたため、数時間後にはトリノに到着する見込みであった。


ホワイトはグレゴリ村長の言葉を思い出していた。


グレゴリ村長は伝える「そろそろ出発の時間だ。夜までにできるだけ距離を稼いでおくべきだ」ふと、空耳のような感覚にホワイトは陥った。


心の中で呟く「グレゴリ村長、あなたが全員を救ったのだ」空を見上げ、村の集落を思い出した。それから2時間が経過し、時刻はおよそ午前11時であった。


前方にトリノの街が見えてきた。ホワイトは馬車内の4人に伝えるため、馬車の前部にある下げ窓を上げた。皆は大いに興奮し、喜びに沸いていた。


周辺には丘が目立ち、丘の上には修道院が見えた。それはサン・ミケーレ聖堂であった。この聖堂は10世紀(西暦1000年)頃、ランゴバルド王国時代に建てられ、「聖ミカエル」の信仰に基づく聖地とされた。


丘の上に位置する聖堂の塔の頂上からは、街を一望できる。馬車は城壁の鉄門の手前で停車した。


そこには他に10台ほどの馬車が停まっていた。


2人の番兵が馬車の荷台を検問していた。1人は紙の巻物を使い、羽ペンで記録を取る監視役人であった。


監視役人は大きな声で「よし!通れ!」と御者に告げた。2人の番兵と監視役人は次々と検問を進め、馬車は順番に鉄門を通過していった。


そして、ユリアたちを乗せた馬車に2人の番兵と監視役人が近づいてきた。若い番兵が威圧的な口調で「荷台を見せろ!」と命じた。


もう1人の番兵が目視で荷台を調べ、「異常なし!監視役人、この馬車を記録しておけ」と報告した。


馬車に乗ったユリア一行は鉄門を通過した。


その時、ミランダが不思議そうにユリアに尋ねる。


ミランダ「もしかして魔法を使ったのかい?」


ユリア「ええ、いつも休憩時に使っている、あの結界よ」


レオ「お姉ちゃん、またホワイト様に怒られるよ」


セリナ「私はユリア様の判断が正しいと思います」


すると、御者側から声が聞こえてきた。ホワイトの声だ。


ホワイトは小声で告げる。「いいか、街の中では魔法の使用も魔法に関する会話も禁止だ」


ユリアは「はーい、了解しました」と少しふてくされた態度で答える。


それを見たセリナはくすっと笑った。


馬車は馬繋場ばけいじょうへと向かった。馬繋場とは、馬を繋いで停めておく場所の名称である。


到着した一行は整然と一列に並んだ他の馬車を見て驚嘆した。その壮観な光景に、5人の目は輝いた。


一方、ホワイトとユリアはこの光景に慣れているのか、さほど驚く様子はなかった。


ユリアは心の中でつぶやく「この6人が私の世界に来たら、腰を抜かすわね」彼女は内心で笑いを抑えきれなかった。


それを見た6人は、多少引いた表情を浮かべていたことは言うまでもない。


ホワイトは気を取り直し、サムに告げる。


ホワイト「我は先に寄る所がある、ついでに情報収集を行う」


サム「かしこまりました、ホワイト様」


ホワイト「少し遅くなる。宿屋で落ち合おう」


サム「では後ほど合流を、ホワイト様」


ミランダ「どこに行くんだい?あたしも!」


ジェイコブ「ミランダ、ホワイト殿に任せるのじゃ」


ユリア「じゃあ、私たちも情報収集を……!」


ホワイト「それはならん!こほん。ユリア姫、街を楽しむのだ」


セリナ「ご帰還をお待ちしております、ホワイト様」


レオ「うん!夜はみんなで夕食だね!」


こうして、ホワイトとユリア一行は別行動を取ることとなった。ホワイトは単独で行動を開始する。


これはユリアの愛弟子を探すため、そして旅資金を確保するために奔走する物語である。


彼はまず酒場に向かうことにした。


酒場は情報収集の場として重要であった。各国から集まる人々がおり、味方や敵といった区別なく、酒場は数少ない娯楽の場の一つであった。


また、中世ヨーロッパでは、酒場は宿屋としての機能も果たしていた。ホワイトは酒場の扉を開けて中に入った。


店内には集団で飲みに来ている者たちもいた。


すると数人の客から囁き声が聞こえてくる


『おい、聞いたか?奴隷にまた4人組の子供が新しく売られるそうだ』


『おう、1人は犬の様に泣いてたそうだな!』


『ぐへへ、俺様は女を選ぶがな〜』


ホワイトはカウンターに向かい、「酒を頼む」と注文した。店主は木製のコップに酒を注ぎ、カウンターに置いた。ホワイトは続けて質問した。


ホワイト「この街に奴隷商はいるか?」


店主「おお、奴隷を買うのか? 高いぞ。」


ホワイト「奴隷の値段はいくらだ? 金貨で何枚になる?」


店主「おおよそ金貨10枚だ」


ホワイト「金貨10枚か……それなら船が買えるな……」


金貨10枚は、現代の価値に換算すると1枚あたり約12万円、合計で120万円に相当する高額な金額であった。


ホワイトは闘技場に参加する必要性を感じ始めていた。


彼が奴隷に注目した理由は、ユリアの愛弟子4人が捕まり、奴隷として売られる可能性が高いと考えたためである。


特に、身なりの整っていない子どもたちはその危険に晒されやすいと判断したのだ。


こうして、ホワイトは闘技場へと向かうことを決意した。

次回、第35話。白き騎士!闘技場に出る!?(中編)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ