第33話。大都市へ向かいます!
前回までの話では、7人で朝食を摂る。ユリアにとって気まずい中、ホワイトはある事を話し出す。それは老婆から聞いた魔術の話し…。そして日記に書かれてた4人を探す事を誓うのであった。それを聞いたユリアは活力を取り戻す。
一行は最北端を目指して移動を開始していた。当面の目的はユリアの愛弟子を含む4人の捜索である。
ホワイトは慎重な行動が必要だと認識していた。無謀な行動は一行全員に危険を及ぼす可能性があるからだ。
御者席には昨日と同じ3人が座っていた。馬車の中からは騒がしい声が聞こえてくる。今回はいったい何が起きているのか。
馬車内でレオが母セリナに甘えていた。セリナの膝枕で横になるレオは上機嫌である。
それを見たユリアは羨ましそうに呟いた「いいな、私も膝枕してもらいたい……」と。
突然、ユリアはミランダの膝に飛び込んだ。ミランダは驚き、顔を赤らめる。
ユリア「ミランダおば様、なでて~!」
ミランダ「仕方ない……って、ちょっと待て! なぜ、あたいだけ『おば』なんだ!」
ミランダは軽くユリアの額を叩いた。ユリアは目を潤ませ、涙目になる。
ユリア「お母さああん! ミランダおば様が叩いたよ~!」
ユリアは大げさに泣きながらセリナに抱きついた。驚いたレオはセリナから離れる。
レオとミランダはユリアの行動にやや呆れていた。
セリナ「まあ、可哀想に……よしよし」
セリナは優しくユリアの額を撫でる。ミランダは困惑した表情で言う。
ミランダ「ちょっと、セリナ! わざとやってるよ!」
ユリアは小さく呟いた「ふっ、ミランダ…まだまだね」
ミランダ「ほら、セリナ! 今、聞こえただろ!」
セリナ「ミランダ、大人げないわよ」
ユリア「お母さん、いい匂い……」
いつの間にか、ユリアとセリナの間で「お母さんごっこ」が始まっていた。レオは苦笑いしながらミランダを軽くつついた。
レオ「ミランダお姉ちゃん、無理だよ。勝てないよ」
ミランダ「とにかくだ!『おば様』は絶対にやめな!」
ミランダはどうしても「おば」という呼び方にこだわっていた。一方、ユリアは考えを巡らせる。この「子供」の身体は非常に「役に立つ」と。
ユリアはミランダに追い打ちをかける。
ユリア「だって、子供から見たらミランダはおばさんだもん」
ミランダ「今、『おばさん』って言ったろ!」
ミランダは握り拳を振り上げ、ユリアに近づく。ユリアはすかさず反応する。
ユリア「セリナお母さん、怖いよ~!」
ユリアは泣くふりをしてセリナに強く抱きしめる。
セリナはユリアの頭を優しく撫でながら言う。
セリナ「ミランダ、この子はまだ子供なのよ」
セリナもユリアに同調していた。レオとミランダはユリアの卓越した演技力に言葉を失った。
馬車は土の道を進んでいた。すると、前方に別の馬車が見えた。ホワイトは馬車を停め、降りて近寄って声を上げた。
ホワイト「そこの御者、馬車を停めるのだ!」
ホワイトは強引に前方の馬車を停めた。
馬車の御者は驚き、声を荒げた。
御者「何者だ! この馬車は交易用の荷馬車だ! 貴様、盗賊か!?」
御者は剣を抜き、隣に座る護衛も槍を構えた。ホワイトは無礼な振る舞いを詫び、敵意がないことを伝えた。
そして、現在の位置と近くに都市があるかどうかを尋ねた。
御者は剣を鞘に収め、落ち着いて答えた。
御者「旅人よ、この先にトリノの街がある。北へ進め」
御者は息を整え、さらに詳しく説明を続けた。ホワイトに正確な旅路を伝えたいと考えたからだ。
御者「トリノで物資を補給し、都市リヨンを目指すとよい。あそこは他に類を見ない大都市だぞ」
御者はそう告げ、馬車を発進させた。ホワイトは深く頭を下げ、別れ際に互いに手を振った。ホワイトは心の中でつぶやいた。
「リヨン…絹織物の生産で名高い商業都市だな。所属国はフランス王国か」
ホワイトは今後の計画を頭の中で整理した。まずトリノを目指し、そこで4人の情報を収集する。闘技場があれば、そこで資金を稼ぐのも一つの手だと考えた。
こうしてホワイトの計画が固まった。
トリノを経由し、大都市リヨンを目指す。
ホワイトは馬車に戻った。馬車の中では、依然として「お母さんごっこ」で賑わっていた。
馬車が止まった事さえも気づいてない4人組であった。
ホワイトはやれやれっと苦笑しながら。サムとジェイコブに目的地を伝えた。
サム「分かりました。トリノを目指しましょう」
ジェイコブ「うぬ、そこで物資を補給じゃな」
ホワイト「サム、我は闘技場に参加するつもりだ」
サム「闘技場!? 命を懸けるのですか!?」
ホワイト「旅には資金が必要だ。軍資金を稼ぐにはこれが最適なのだ」
ジェイコブ「ホワイト殿、お主……」
ホワイト「ジェイコブ殿、心配無用。我の腕には自信があるのだ」
さらに、ホワイトはサムとジェイコブにある提案をした。それは、馬車にいる他の4人には内密にしておくというものだった。
サムとジェイコブは頷き、男同士の約束を交わした。
こうして馬車は次の目的地、トリノへと進んだ。
次回、第34話。白き騎士!闘技場に出る!?(前編)




