第3話。異端の魔女。
前回までの話では、ある出来事を振り返り。記憶を取り戻した。少女は己の置かれてる状況を把握し始める。
私は冷静になり、ようやく今の状況を把握できた。私を取り囲んでいる騎士っぽい兵士たちは「騎士」だと理解できた。ところで、なんで殺意を感じるの?私は頭の中で考えをまとめた。
神への信仰。そして神に仇なす異端者を罰する。
前者なら、私を崇める騎士のはず。これって後者じゃない!私を異端者として見てるってこと!?でないとおかしいよ。私は偉大な魔法使いなんだから!
ん?ちょっと待って。なんだか体がおかしいみたい。少女はまず自分の胸を触り、次にほっぺを触る。
ありとあらゆる自分の身体を舐め回すように触って、手を見つめる。もしかして、もしかして、幼児体型になってるー!?
光に包まれたときに?転移したとき!?あー、もう分けが分からない!あの子たちはどこにワープされたの!?
そもそもワープって言っていいのかな?同じ部屋にいたなら転移されてるはずだし、探さないと。この騎士たちはさっきから何をコソコソ話してるのかしら?
私の魔法で共通語を唱えれば一発で言葉が理解できるはずなんだけど、そうすると騎士の中に私の本来の力を恐れる者が。
あー、もう!すでに恐れられてるよね。今さら迷う必要もないかしら!
少女は意を決して魔法を放つ。数人の騎士たちは不思議そうに少女が握っている杖を見つめる。そして一瞬の隙に、騎士たちに魔法がかけられる。
(※少女は共通語を唱えた!これで、あなたも理解できるようになった!ピロローン♪)
第一従士「おい、そこの貴様!杖を振り回すな!」
第二従士「お前!間違いなく異端者だな!」
従士隊長「う〜む、保護を検討せねば…」
第三従士「保護ですか?従士長!異端者ですよ!」
従士隊長「杖を振り回してるだけなのだぞ?」
第一従士「ここは騎士様にお尋ねしますか?」
従士隊長「うむ!確か聖ヨハネ騎士団が到着していたな」隊長は合図を送る。
少女を生け捕りにする作戦だった。少女は騎士たちを睨みつける。
やっぱり、私を異端者扱いなんだ。それに、騎士って言っても「従士」だったなんて!?
そもそも従士は騎士とワンセットでしょう!ここは異世界として理解できたけど。
問題はどこの世界なのかしら。武皇王は勇者を召喚するために異世界の地球から若者を召喚するって聞いたことがあるわ。
ここは、その「地球」なのかな?でも変だね、地球には騎士はいないって聞いたけど……。
そうだわ!地球でも時代が違うってことも、『勇者』が遺した書物で見たことがあるわ。
地球の世代によって時代が違ってたと。鎌倉時代。戦国時代。昭和時代。平成時代。
新たな年号、令和時代があるって。そして日本以外でもいろんな国があったんだよね?
確か〜中世ヨーロッパ!間違いないわ!私はきっと中世ヨーロッパの時代に地球上にいるのね。それとも、地球だけど地球じゃないのかしら……。
勇者の書物に「十字軍の騎士」って書かれてたわ。
これで一つ答えが見つかったわね。
少女は頷く。不気味に微笑む少女。それを見ていた騎士たちは、紐状のロープを少女に絡ませる。
少女はため息をつきながら従う。魔法を使えば楽勝で倒せるだろう。
少女は殺生を好まなかった。騎士たちのコソコソ話が終わらない。
「ここで殺すべきだ」「異端者を火あぶりにするべきだ」「騎士の称号をもらうために子供を殺すのはやめるべきだ」など、いろいろな意見が飛び交っていた。
少女には聞こえてるけど、無視する。時々、青空を見つめる。場所は分からないけど、自分がいた本来の世界と青空は同じ空で、安心した。
従士の騎士たちは1時間ほど歩いただろうか。彼らは徒歩である。おかしいわね、騎士なら馬じゃないの?この騎士たちは、騎士の称号を手に入れる前なのかしら?すると、一人の従士騎士が呟く。
第二従士「まさか、異端農民に馬を奪われるとは」
従士騎士はブツブツと呟く。それを聞いた少女は心の奥底で笑うのであった。
たまたま私が彼らの目の前にいた、ただの八つ当たりだったのか。少女は笑った。
今、どこに向かっているのか。それは異端農民が住んでいる町なのだろう。少女は考えを巡らせる。
もしかして?虐殺するつもり!?
いいえ、そんなはずはないわ。騎士でしょうに……。
従士隊長「異端農民の中に騎士はいたのか?」
第一従士「分かりませんが、情報によると白いチュニックを着た老騎士を見たという報告があります」
従士隊長「どのみち、衝突は避けられないぞ!合流を急ぐぞ!」
隊長の掛け声と共に、従士騎士たちは頷く。この先に何が待っているのか、私は容易に想像できる。
こんな展開、誰にでも分かるわよね。私は、ため息をつきながら、2度も空を見上げた。
こうして異世界の地球であろう降り立った。降り立った?転移かしら。
次回。第4話。老騎士と少女。




