第23話。村長から馬車を貰えました!
前回までの話では、朝食をとる為に宿屋の中へ。外で遊んでいた、レオも合流し、朝食を食べる、レオは集落の子供達と友達になっていた。レオの言葉にホワイトはある決断を考え始めていた。
朝食を終えた一行は別行動していた。ホワイト、ジェイコブ、サムは宿屋の外で雑談をしていた。ユリア、セリナ、ミランダは食器の片付けをしていた。
ユリアが食器を台所へ運ぶと、宿屋の店主が声をかけた。店主はすべての仕事を一人でこなしていた。
宿屋の店主「すみません!ユリアお嬢ちゃん。助かりますよ!」
店主は気さくな性格で、その日のうちに一行と打ち解けていた。ユリアは笑顔で答えた。
ユリア「おじさん、気にしないで。私たちも助かっているわ!」
食器を洗うため、ユリアは水をかけて洗った。厨房は頑丈な造りで、煙突や暖炉、レンガ造りの囲炉裏が備わっていた。調理器具には鍋、フライパン、ヤカンなどが使われており、現代の台所用品の原型に近いものだった。
15世紀半ばのこの時代、厨房と食堂が一体化した構造が主流で、特に富裕層の間で一般的だった。一方、貧困層は簡素な囲炉裏を使用していた。なお、コンロが登場するのは18世紀頃であり、この時代にはまだ存在しなかった。
話を戻そう。セリナとミランダも食器を運び、4人で片付けを行った。
宿屋の店主「ふぅ、助かりましたよ、お嬢さんたち!」
セリナ「いいえ、店主様。私たちこそ感謝します」
セリナは深く頭を下げ、店主の親切に感謝の意を伝えた。
ミランダ「ただ飯を食べるつもりはないよ!」
ミランダの言葉は皮肉めいて聞こえたが、これは彼女なりの恩返しの表現だった。セリナは小さく笑った。
宿屋の店主「あとは私一人で大丈夫です!」
店主は笑顔で3人を解放した。ユリア、セリナ、ミランダは丁寧に頭を下げ、厨房を後にした。ユリアが2人に話しかけた。
ユリア「びっくりしたわ。2人とも外出しているのかと思ってたのに、店主の手伝いをするなんて」
起こしてくれたら良かったのに。っと呟くユリア。
セリナ「ふふ、ユリア様の寝顔があまりにも可愛くて、起こすのをためらったのです」
ミランダ「本当さね!あんな可愛い寝顔はそう見られないよ」
2人はユリアの寝顔を楽しみながら微笑んでいた。ユリアはそれを聞いて顔を真っ赤にした。
その時、サムが3人に近づいてきた。彼は伝言を伝えに来たのだ。
サム「部屋で待機するようにとのことだ。後で皆と話があるらしい」
ユリア「ホワイトはどこにいるの?」
サム「さっき、村長と護衛兵2人に連れていかれた」
セリナ「何かあったのかしら?心配だわ。」
ミランダ「まぁ、心配することはないさ。」
サム「ジェイコブ爺さんとレオはすでに部屋に戻っている。俺たちも戻ろう」
3人は頷き、部屋へと戻った。
一方、ホワイトは村長と護衛兵2人に連れられていた。彼は冷静だった。もし村長や護衛兵に殺意があれば、寝込みを襲っていたはずだと考えたからだ。
村長がジェイコブについて語り始めた。
グレゴリ村長「ジェイコブ殿は実に興味深い人物だ」
ホワイト「彼こそが人生の師だと、改めて感じました」
グレゴリ村長「がはは! その通りじゃ!」
村長は高笑いしながら馬小屋へと向かった。ホワイトは、なぜ馬小屋なのかと疑問を抱いた。確かに、護衛兵二人が馬小屋を訪れていたのを目撃していた。すると、村長が口を開いた。
馬小屋に到着するまでの間、二人は会話を続けた。
グレゴリ村長「騎士様、旅の目的地はどこじゃ?」
ホワイト(私を騎士と勘違いしているのか?)
ホワイト「ルーイス島に向かう予定です。」
グレゴリ村長「ほう、スコットランドか。長旅になるな」
ホワイト「ブリテン島へ渡るつもりです。」
グレゴリ村長「ならば、馬車が不可欠じゃな。」
ホワイト「我々にそのような金貨はありません」
グレゴリ村長「おぬし、テンプル騎士であろう?」
ホワイト「はは、村長殿、ご冗談を」
村長はホワイトを「騎士」と呼び、低くつぶやいた。突然の言葉に、さすがのホワイトも動揺した。
やがて、馬小屋が見えてきた。馬小屋の世話人が駆け寄り、村長に深々と頭を下げた。馬小屋には四頭の馬が飼われていた。馬小屋のすぐ後ろには、扉付きの木製倉庫があった。
村長一行は木製倉庫へ移動し、護衛兵二人に命じた。
グレゴリ村長「扉を開けなさい。許可する」
護衛兵「ハッ! ただちに開きます!」
一人が扉を開け、もう一人が村長一行を倉庫へと案内した。そこにあったのは、屋根付きの馬車だった。
荷馬車とも呼ばれるが、正式には「幌馬車」である。木製の四輪馬車で、二頭の馬で牽引するものだった。 大型で10人は乗せられる馬車である。
ホワイトは驚き、思わず村長の顔を見た。村長は微笑みながら言った。
グレゴリ村長「これはわしからの感謝のしるしじゃ」
ホワイト「なぜ、ここまで我々に?」
グレゴリ村長「ジェイコブ殿に長生きしてほしい。それだけじゃ」
グレゴリ村長「よいな! ジェイコブ殿を大切にせよ!」
ホワイト「グレゴリ村長、このご恩は決して忘れません」
ホワイトは片膝をつき、頭を下げた。そのとき、大の男の片目から一粒の涙がこぼれ落ちた。
次回、第24話。それぞれの思いと決断。




