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第2話。師と弟子

前回までの話では、異世界から地球にやってきた最強の魔法使いが、見たこともない騎士団に囲まれて目を覚ました。少女はある出来事を思い返していた。



 偉大な魔法使いがいた。魔法使いは弟子4人と一緒にダンジョンに潜っていた。弟子たちは見習い卒業のためにダンジョン攻略に励んでいた。弟子が先頭を進み、師匠が後ろからついていた。


師匠を除いて弟子だけのパーティーメンバーだった。


 弟子たちは全員が少年と少女で青春真っ盛りだ。14歳で、見習い卒業を目指している。そしてその世話役が、一人の高位魔法使いの女性である師匠だった。


 高位魔法使いの彼女は、魔法のすべてを極めた偉大な魔法使いだ。魔法使いの師匠はトンガリ帽子を脱いで、ロングの髪を団子ヘアに結び直す。それを見ていた弟子たちは、尊敬の眼差しを向ける。


集中力がない少女「ねぇねぇ、師匠、綺麗だよね」


 少女は3人に近寄り、小声で話す。時々後ろが気になるのか、集中力が足りない少女だ。


弱気な少女「だ、駄目だよ、集中しないと、また怒られちゃうよ」


 弱気な少女は杖を肌に離さず抱きしめている。どうやら見習い魔法使いのようだ。


強気な少年「そんなことよりも早くボスを倒して卒業だ」


 強気な少年は剣と盾を持ち、常に警戒している。見習い剣士のようだ。


寡黙な少年「僕は早く帰りたい・・・」


 寡黙な少年は杖を背中に背負っていた。見習い魔法使いのようだ。


師匠「あんたたち、おしゃべりは後にしなさい」


 師匠は先頭を歩く弟子たちに注意を促す。トンガリ帽子を被る。


師匠「メイ、集中しなさい。ここはダンジョンだから気を抜くと危ないわよ」


 彼女は集中がない少女のことを「メイ」と呼んだ。


師匠「ミラ、怖いのは分かるけど、仲間を信じなさい」


 彼女は弱気な少女のことを「ミラ」と呼んだ。


師匠「カイ、ボスは逃げないから、安心しなさい」


 彼女は強気な少年を「カイ」と呼んだ。


師匠「シン、ダンジョンのボスを倒したら帰れるわよ」


 寡黙な少年のことを「シン」と呼んだ。


師匠の言葉を遮るように4人のヒソヒソ話が始まる。最初に師匠の口癖について話し始める。


メイ「師匠の口癖ってさ~『もしかして』を連発する時があるよね~」


ミラ「うん! 私も何回か聞いたよ」


カイ「それな、動揺した時に出る言葉だぜ!」


シン「師匠は時々深く考えることがあるからね」


 4人はいつの間にか師匠の「口癖」の話題で盛り上がっていた。


それを後方で聞いていた師匠は、


師匠(まったく、この子たちったら・・・)


 彼女は心の中で呟く。表情は微笑んでいた。


彼女は心の中で4人の職業をもう一度確認する。


メイは遠距離特化のアーチャーだ。弓が得意な職業だ。


ミラは回復特化のクレリック。ミラの聖回復力は驚くべきものだ。


カイはファイター。攻と防の攻防一体だ。パラディンを目指す夢は良いことだ。


シンは攻撃特化のメイジ。ずば抜けて魔法攻撃力が高い。いつか私を超えるだろう。


 上位職に転職することも夢ではない。私の弟子なんだから。彼女は心の中で微笑んでいた。


 きっと勇者と力を合わせ、魔王と邪竜四天王を討伐してくれるだろう。


師匠と弟子たちは1層から4層まで下っていた。時々魔物が湧くが、4人の敵ではなかった。カイが魔物を挑発して引きつけ、魔物がカイに近寄る前にメイが仕留める。


そして仕留め損なった魔物はシンが魔法攻撃でトドメを刺す。


 3人が傷を負えば、ミラが回復呪文で癒す。魔法系統には上級、中級、初級と魔法が分かれている。級によってリキャスト時間があるが、下級職は数秒で唱えられる初級魔法だ。


上級の特級魔法は数少ない魔法使いにしか扱えない。それを極めた者が彼女でもあった。


5人は5層まで下っていた。このダンジョンの最深部は7層までしかない初心者用ダンジョンだ。


 季節によって無限に変わるダンジョンでもあった。この頃は冬用ダンジョンになっていた。


師匠「残り2層ね、頑張りましょう」


彼女は弟子たちを励ます。4人を交互に見つめる。弟子たちも、カイ・シン・メイ・ミラ「おー!」と士気が高い方だった。


 6層の敵は上層の敵よりも多少強くなっていた。4人は苦戦するが、巧みな連携で何とか倒した。そして、ついに最深部へとたどり着いた。


5人は最深部の奥に進んでいく。最深部はシンプルな構造になっていて、一直線の道が続いていた。奥に進むにつれて、異様な空気が漂っている。


 そして、巨大な扉が5人を阻むように閉まっていた。4人の緊張が高まる。明らかにボス部屋だと分かるからだ。


カイ「いよいよだ、みんな準備はいいか?」


カイは扉に手をかざし、3人の顔を見渡す。


シン・メイ・ミラ「うん、いつでも大丈夫だよ」


3人は頷いた。戦闘準備をするために構える。カイは扉を開けるために力を入れる。巨大な扉がゆっくりと開いていく。


 そして、一斉に5人はボス部屋の中に入る。師匠も同行しているが、ボスを倒すのは4人だ。彼女は緊急時に備えて控えている。


だが予想外の出来事が起きる。魔物が一匹もいない。ボスの気配すら感じられない・・・。4人は戸惑う。


本来なら、ボスがいないダンジョンは入り口が塞がれているからだ。師匠は困惑していた。初めての経験だったからだ。彼女は平常を保つために心の中で考えを巡らせる。


 最初に考えたのは「時間差」だった。まだリポップしていないのか?(※リポップとは、魔物が倒された後に再生されることを指す)


彼女は不思議な現象が起きているのは間違いないと考え始める。


すると、突如として真上から浮遊する半透明の球体が現れた。その球体はまるで反射するように壁一面に幻影を映し出していた。


 多くの兵士たちが町を包囲している場面が映し出されている。40歳ぐらいの騎士とトンガリ帽子をかぶった少女が村人を避難させる様子が見えた。


少女は13歳ぐらいの容姿だった。それを見ていた彼女は心の奥底から何故か「懐かしさ」を覚え始める。彼女は中高年の騎士を見つめる。


 彼女は子供の頃の記憶がない。「お父さん?」心の中で想いが募る。彼女は無意識に壁に近寄ろうとしていた。それを阻止するのは弟子たちだった。


カイ「師匠!止まって!」


シン「嫌な予感がする・・・」


メイ「先生、戻ってきて!」


ミラ「先生〜お願い〜止まって〜」


4人は大声で叫ぶが、彼女には届かない。そして、浮遊していた半透明の球体は砕け散る。


 それと同時に、部屋中に突然眩しい光が拡散する。弟子たちはその眩しい光から目を瞑る。


思い出したわ、光……光に包まれて……。


カイ、シン、メイ、ミラ……ごめんなさい。


 少女はゆっくりと瞳を開ける。あの出来事の記憶を取り戻した。そして、孤独な戦いの始まりでもあった。

次回。第3話。異端の魔女。

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