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第16話。村長は....優しい村長でした!

前回までの話では、全員、朝食を終え。ジェイコブの提案で村か街を目指す為に移動を開始した。


途中では池に寄り。女性陣は喜ぶ。その後は森林を抜けて川沿を発見。そして北上しながら遂に村を見つけた一行。

 一行は村を発見し、全員が喜びに沸いた。しかし、村へ向かおうとしたその時、ホワイトがそれを制止した。突然の行動に全員が驚く。


ミランダ「なぜ止めるんだい、ホワイト様!」


ユリア「そうよ、やっと村を見つけたのに!」


セリナ「2人とも落ち着いて。まずは話を聞きましょう」


レオ「えー、早く行こうよ、お母さん!」


 サムは心の中でつぶやく。「ホワイト様、何か考えがあるのだろうか?」


 ユリア一行は村へ向かいたいという強い気持ちで一致していた。


 ジェイコブはホワイトの意図を察しているのか、黙って様子を伺っていた。


 ホワイトは真剣な表情で口を開いた「我々は部外者だ。慎重に準備を進めなければならない。確か、オオカミの毛皮があったな?」


サム「はい、ホワイト様。こちらにございます」


 サムはオオカミの毛皮を地面に広げた。ホワイトは剣を毛皮で包み、隠すようにした。


 しかし、盾はさすがに隠すことができず、彼は盾を置いていくことを決めたのだ。それを見たサムは驚きを隠せなかった。


サム「そんな…盾を置いていくのですか?」


サムにとって、盾は捨てがたい大切なものだった。


ホワイトはサムの肩を軽く叩き伝える。「サム、命より重いものなどない」


 サムは納得しつつも、盾が命を守る道具であることに思いを馳せていた。続けて、ホワイトは話を進めた。


ホワイト「ユリア姫、わかっているな?」

ユリアを軽く睨みつけるように見つめた。


ユリア「わ、わかってるわよ! 言わなくても!」


 ユリアは頬を膨らませ、不満げな様子を見せた。ユリアにとって、このやり取りは聞き慣れたものだった。


セリナは小さく笑い、ミランダは「やれやれ」と微笑んだ。


 ジェイコブとホワイトは互いに視線を交わし、頷き合った。二人は言葉を交わさずとも、互いの考えを理解していた。


 不測の事態に備える必要があった。だからこそ、二人は暗黙の了解で準備を進めていたのだ。


 ユリア一行は村へ向かうべく移動を始める。その前に、ホワイトは一度戻り、先ほど地面に置いた盾を拾い上げ、川へと投げ捨てた。


 これはサムが盾を持ち出さないようにするための行動だった。


 ジェイコブは後ろを振り返り、心の中で呟いた。 「貴方こそ真の騎士だ」


 ホワイトは皆の後を追い、ジェイコブと並んで村を目指した。約20分後、一行は村に到着した。


 そこでは数人の村人たちが慌てて家に戻る姿が目に入った。ホワイトは周囲を注意深く観察した。


 村は小さな集落で、約30人ほどの住民が暮らしているようだった。家々は木造やレンガ、石を積み上げた外壁でできており、中世ヨーロッパの石造建築造りだ。


ユリアは心の中で呟いた。「まるで私がいた世界とそっくりだわ」


 村の集落から、村長と思われる人物が近づいてきた。村長は堂々とした態度で、7人の一行を一人ずつ見つめた。村長は若くはない。ジェイコブと同年代、つまり壮年といったところだろうか。


やがて村長が口を開いた「7人のうち、まとめ役は誰じゃ?」


 ホワイトが一歩前に進み出た。そして、片膝をついて軽く頭を下げた。ホワイトは丁寧に言葉を続けた。


ホワイト「我々は決して怪しい者ではございません。長旅の疲れを癒すため、この地に立ち寄らせていただきました」


 ホワイトは顔を上げ、村長に失礼のないよう目線を合わせた。その際、ホワイトは村長の首元にちらりと視線をやった。


 そこには十字架のネックレスがかけられていた。つまり、村長は教皇の信者である。ホワイトはすかさず機転を利かせた。


ホワイト「実は、我々は異端とされるテンプル騎士を追う旅もしております」


 ホワイトは穏やかに微笑み、手で十字を切った。そして、「神のご加護がありますように」と小さくつぶやいた。


村長「おお、あの神に仇なす騎士を追っているのか!」


 村長は大いに喜び、ホワイトの手を握った。そして、ある王の名を口にした。それはフランス王フィリップ4世だった。


村長「フランス王は寛大な御方だった、教皇庁での異端裁判を成功させたのじゃ!」


 村長は笑顔を絶やさず、彼の手を離さなかった。そして、彼の名を尋ねた。ホワイトは穏やかに答えた。


ホワイト「私はホワイトと申します、村長様」

続けて、ホワイトは村長の名を尋ねた。


村長「わしはグレゴリだ。グレゴリ村長と呼んでくれればよい」


 その様子を見ていたユリアは、どこか違和感を覚えた。村長の態度が急に変わったように感じられたのだ。


 しかし、ユリアにとってそれはさほど重要なことではなかった。なぜなら、野宿せずに済むからだ。


グレゴリ村長「さあ、わが村へようこそ! 心より歓迎するぞ!」


 村長は満面の笑みを浮かべた。その視線がジェイコブに向けられた。同年代だからだろうか、ジェイコブはなぜか警戒心を抱いていた。


 一方、サムは村長を鋭くにらみつけていた。ホワイトは目線でサムをたしなめ、一行は集落の中へと案内されたのだ。


ユリアは心の中でつぶやいてた「村長は意外と親切な人なのね」

次回、第17話。レオと集落の子供達。

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