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第15話。野宿は嫌なので村に寄ります!。

前回までの話では、全員がホワイトの帰りを待っていた。そして合流し。朝食をする事になる。


朝食はオオカミの肉と魚。ユリアは早朝からの「お肉」料理にテンションが下がっていた。料理?。これは料理なのか?。訂正しょう。こんがり肉っと。

 一行は早朝の朝食を終え、片付けを行っていた。ホワイトは当初、残った肉を干し肉にしようと考えたが。


 この場所では条件が整わず断念した。焚き火で水分を飛ばすことは可能だが、「魚干し網」や肉を吊るす網がないためだった。


 結局、残った肉は森の動物たちへの供物として置いておくことにした。そのとき、ジェイコブが提案した。


ジェイコブ「ゆっくりと宿屋で休みたいものじゃ」

老体での野宿は疲労を蓄積させていた。


セリナ「そうですね。この子の為にも宿屋がいいわ」

彼女は息子のレオの頭を優しく撫でた。


ホワイト「北に向かおう。先ほど羅針盤で確認した。」


 彼は軽装の懐にしまっていた航海用の羅針盤で方位を確認していた。この航海用の羅針盤は、現代でいう「コンパス」に相当する。


(※コンパスの起源は古く、西暦1000年頃の中国に遡る。ある中国人が水を入れたお盆に磁石の針を浮かべたところ、その針が常に「南」を指したことから方位磁針が誕生した。その技術はアラビアを経てヨーロッパに伝わった。)


話を戻そう。ユリアが疑問を口にした。


ユリア「どうして北に村があると分かるの?」


 北へ向かうだけでは、村や街があるとは限らないとユリアは考えていた。


ホワイト「池を見つけたのだ、その池には北から水脈が流れていた」


ジェイコブ「うぬ、なるほど! 水脈があるところには港町があるということじゃな!」


 ジェイコブはかつてヴェネツィアに住んでいた経験から、水脈が海に繋がっていると推測した。


ホワイト「さすがジェイコブのご老人!」


 二人は顔を見合わせて笑みを浮かべた。サムはその意味を理解していなかったが、二人の輪に加わった。


ミランダ「よし、こちらの片付けは終わりさね」


 一行はある程度整理を終え、持ち運べる荷物を準備した。彼らはワープした際、逃げるのに必死で荷物すら持っていなかった。


 改めて、現在の持ち物を確認した。松明2本、矢じり15個、十字軍の剣、カイトシールド。


(※カイトシールドはアーモンド型の盾とも呼ばれる。)


 サムはホワイトの剣がテンプル騎士団の物だと気づいていた。その証拠に、ポンメル(柄頭)には馬に乗った二人の騎士の紋章が刻まれていた。


 サムはその剣を気に入り、地面に置かれていた剣を拾ってホワイトに手渡した。


 ホワイトは剣を受け取り、腰に差した。そして、ホワイトはサムに次のように伝えた。


ホワイト「サム、カイトシールドを持て」


サム「私がですか!? これはホワイト様の盾です!」


ホワイト「後方を誰が守る? しんがりは任せたぞ」


 ホワイトはサムの肩を軽く叩いた。カイトシールドを受け取ったサムは、意気揚々としていた。


サム「お任せください、ホワイト様!」


ユリア「結界を解除すわよ、準備はできてる?」


一同はうなずいた。ユリアは結界を解除した。


 一行の隊列は、ホワイトを先頭にジェイコブ、レオ、ユリア、セリナ、ミランダ、そしてしんがりにサムという構成だった。


 ホワイトは、事前に木に傷を付けておいた目印を頼りに進んだ。迷うことなく池にたどりつく事だろう。そこは深い森林地帯であり、一行は常に周囲を警戒していた。


 あれからおよそ40分が経過し、ようやく池に到着した。池の水は透明で、汚れのない清らかなものだった。


 ユリア、セリナ、ミランダは喜んだ。なぜなら、そこで身体を洗えるからだ。3人はホワイトに視線を向けた。


ホワイトは小さく笑い、「承諾した」とつぶやいた。


ホワイトはユリアに木製の笛を手渡した。


ホワイト「着替えが終わったら1回、緊急事態なら2回鳴らせ」


 男性陣は女性のプライバシーを守るため、池の外の森林で待機した。女性陣は服と下着を丁寧に脱ぎ、整然と置いてから池に浸かった。


ユリア「ホワイトったら、笛まで用意してるなんて」


セリナ「ふふ、私たちのことを心配してくれてるのね」


ミランダ「ん?名前が刻まれてないかい?」


笛には「オーランド騎士団長より」と刻まれていた。


 3人は微笑んだ。ホワイトの過去を少し垣間見ることができたからだ。その後、3人はゆっくりと身体を洗い、池から上がった。


 ユリアは初級火魔法で3人分の身体を乾かした。セリナとミランダは特に異議を唱えず、ユリアは小さく笑った。


 一行は合流し、森林の外を目指して進んだ。あれから3時間ほど経ち、休憩を挟みながら歩みを進めた。ついに森林の北側を抜けた。


一同は喜びに沸いた。左側には川が流れていた。


「川があるところには村や街がある」と、ホワイトとジェイコブは推測した。


 一行は川沿いに北上した。遠くに村らしきものが見えた。レオが指をさして叫んだ。


レオ「見て見て! 村が見えるよ!」

レオはセリナの手をつかんで喜んだ。


 この時点で隊列は乱れていたが、誰もが安堵していた。ユリアもまた喜びを隠せなかった。ジェイコブはサムにおんぶされていた。


一行は無事に村を発見したのだ。


ユリアはつぶやいた。

「ようやく野宿せずに済むわね」

次回、第16話。村長は....優しい村長でした!。

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