第13話。サムの奮闘記!
前回までの話では、早朝前の森林から音が聞こえてきた。巡回していたホワイトは、正体を探るために森林に向かうことを決めた。そしてサムを起こして、見張りを任せた。
ホワイトは森林に向かう。今宵の出来事は…。
ホワイトとサム以外はまだ眠っていた。ホワイトは森林へ出発する。サムは見届けるしかできなかった。
今宵の主人公はサムだ。サムはセリナ、レオ、ミランダ、ジェイコブの近所の住人だ。町は壊滅し、逃げ延びた住人たちでもあった。
そして、騎士に憧れを抱いている若者でもある。ホワイトの影が遠ざかっていく。
松明の光でうっすらと見えるくらいだ。
サムはもう一本の松明を準備し、ホワイトから教えてもらった火打石と火打金を使う。片膝を立ててしゃがむ。
何回か失敗するが、慣れれば楽に火をつけられた。サムは心の中で自分を奮い立たせる。立ち上がり、ホワイトの帰りを待つことにした。
先にジェイコブを見に行くことにする。ジェイコブは静かだ。まるで呼吸をしてないみたいだ。サムは慌てて耳元をジェイコブの口に近づける。すると普通に呼吸をしていた。
サムはホッとする。ジェイコブは「無呼吸症」だった。我々の現代では「睡眠時無呼吸症候群」とも呼ばれている。サムはホワイトが被せたマントをしっかりと被せ直す。
次にミランダの元へ向かう。ミランダは…サムは普通に素通りする。なぜなら、ミランダは夢の中で寝言を言っていたからだ…うん、聞かなかったことにしよう。
次はセリナとレオを見に行く。お互いの体温を温めるために離れずに寝ていた。サムはその姿を見て微笑む。これが「母親」なんだな、と思い。
自分の母を思い出す。救えなかった自分の不甲斐なさに、力さえあれば…サムの心の中で怒りがこみ上げる。
するとホワイトの言葉を思い出した。「騎士になりたければ、冷静でいることだ。この意味、分かるな?」
彼はハッと我に返る。気を取り直して次はユリアのところへ向かう。
サムにとってユリアの魔術には憎むべきことがあった。あれほど強力な魔術なら、あの町を救えたのではないのか? でも使えない理由も分かっている。
サムは決してユリアを恨んではいなかった。逆に感謝していた。それはホワイトと出会えたのもユリアがいたからだと、頭の中では分かっていた。
サムは松明をユリアの方に向ける。ユリアはあくびをしながら眠っていた。そしてサムは心の中で呟く。(一番辛いのは、そっちの方だもんな…)
こうしてサムは異常がないか巡回をしたのであった。ホワイト様は大丈夫なんだろうか、と空を見上げる。
もうすぐ朝日が昇って、太陽が顔を出す頃だろう。サムは少し不安になる。それは武器さえも持っていないからだ。
サムは地面に落ちてた小さな枝を拾う。そして、それを振るマネをする。「まぁ、結界の中だし、大丈夫だろ」と、サムは小さくつぶやくしかなかった。
そもそも、誰かに襲われたらユリアを叩き起こすしかないって思ってたサム。そしてハッと我に返る。「小娘に頼ってていいのかよ!」と、自分に気合を入れる感じで「喝」を入れた。
とはいえ、ユリアは見た目が少女なんだし、まぁ仕方ないかとサムは納得するしかなかった。
サムは自分にできることをやった。ホワイト様が帰ってくるまで大事な役目を任されてるんだから。
そして、心の中で密かに決意する。「俺は、もっと強くなるぞ」強くなるには、やっぱり鍛錬が必要だ。
サム「ホワイト様に弟子入りさせてもらおう」
この決断が、後にユリアやミランダ、セリナの心を大きく揺さぶることになるとは誰が想像しただろうか。
それから、サムは同じ場所を巡回しながら、みんなの様子を見て回る。そしていつの間にか朝日が昇って、太陽が顔を出した。
セリナとミランダが目を覚まして、サムに挨拶してからどっかに行く。
すると、レオがサムに尋ねてくる。サムは「おはよう」と返した。
レオ「サムお兄ちゃん、ホワイト様は?」
レオはキョロキョロしながらホワイトを探してた。
サムは「出かけてるよ」と説明する「偵察と獲物捕りだから、すぐ戻ってくるさ」
そう言って、レオの頭を撫でて微笑んだ。
すると、今度はジェイコブが起きてきたのか、近寄ってくる。サムはジェイコブをちょうどいい石のとこに座らせた。
あとは、みんなでホワイト様の帰りを待つだけ。サムはちょっとホッとする。夜より朝の方がラクだからだ。
こうして、サムの巡回奮闘記はひとまず終わりを迎えた。
第14話。朝食です、でも肉が重いです!。