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第12話。2日目の朝食を確保します!

前回までの話では、2日目の朝を迎えた。ユリア達は身の回りをしセリナとミランダは結界の外に出て水溜り場へ。ユリアは2人を追いかける。そこで3人の絆が強くなり。時より女子だけで集まる事を誓う。そしてホワイトだけが消えていた・・・。今宵の出来事は、ホワイトの目線で追う事になる。

 2日目の早朝。これは、みんながまだ起きる前の話に戻ることになる。今宵の主人公は老騎士の物語だ。


 ホワイトは早朝前の深夜に巡回していた。松明の「光」だけを頼りに見張りをしている。


 ユリアに頼めば周りが明るくなるだろう。だが、ホワイトはそれを許さなかった。なんでも魔術の力を頼ってはいけないからだ。


 すると、森林の奥から微かな音が聞こえてきた。ホワイトはサムを起こすことにした。


ホワイト「サム、サム!起きるのだ」


 彼は眠っているサムを優しく揺さぶる。サムは目をこすりながら起きる。


サム「ホ、ホワイト様?」


ホワイト「よく聞け、サム。森林の奥で音がした」


 ホワイトはサムの耳元まで近づいて話を続ける「我はその正体を探る。結界で護られているが、不測の事態があるかもしれん」


ホワイト「サム、お前はまだ騎士ではないが、我はお前の度胸と志を認めている」


 彼はサムの肩に手を置く。まだ暗いが、微笑んでいるのが分かる。サムは完全に目が覚めた。


サム「ホワイト様!?お、俺は!」


 サムは何かを伝えたいのか、なぜか言葉が出なかった。それは、サムがまだ従士ではないことを心の中で理解していたからだ。


 ホワイトはサムの誠実さをよく知っている。だからこそ、彼はサムに託したいと思った。サムなら立派な騎士になれるだろう。ホワイトはサムを立たせて、話を続けることにした。


ホワイト「騎士になりたければ、冷静でいることだ。この意味、分かるな?」


彼はサムに「騎士」の在り方を伝える。


サムは手を胸に当てて誓った。「はい!ホワイト様、常に冷静でいます」


ホワイト「よし、数時間で朝食の獲物を狩ってすぐに戻る」


 彼はサムの肩を軽く叩いた。「任せたぞ」と言い残して。サムは力強く頷く。

ホワイトは予備の松明と矢じりを持って出かける。


 松明1本、矢じり7本の装備だ。結界から出た彼は、森林の奥から音がした場所を目指す。位置を特定できるように、木に小さな傷を入れる。


 次々と木に小さな傷をつけていく。それは彼しか分からない傷だった。そして前進する。幸い、もうすぐ日の出が見える。


 ホワイトは空を見上げ、ゆっくりと移動を開始する。彼は従士になる前に斥候兵も経験していたので、隠密行動にも長けていた。確実に音がした場所へと近づいていく。


 そこにいたのは…野生のオオカミだった。

ホワイトは意外とホッとしていた。町を襲った騎士がここまで来たのか、と内心思っていたからだ。


 彼は朝食にぴったりだと思ったのか、弓の準備を始める。矢をつがえ、弓の弦に矢をあてる。

野生のオオカミは群れで数匹いるだろう。彼は矢を放つ。


 すると、一匹のオオカミが悲鳴をあげて倒れてしまった。彼はすぐに次の矢をつがえ、もう一発放つ。


 しかし、そのオオカミは運動神経が良く、間一髪で避けてしまう。矢は木に刺さった。

矢じりは簡単な枝でできたもので、そんなに威力はない。最初の一匹は見事に首元に刺さったからだ。


 ホワイトは仕留めたオオカミに近寄り、片膝を立ててしゃがむ。オオカミに話しかける。


ホワイト「許せ、我たちが生きるためなのだ。決してお前の命は無駄にしない」


 彼は剣でトドメを刺すが、決して乱暴には斬りつけない。立ち上がった彼は、運びやすいように木を折り、オオカミの前足と後ろ足を紐で結ぶ。


自作の紐は、女性たちが用意してくれたものだった。


ホワイト「感謝しょう、ユリア姫、セリナ、ミランダ」


 彼は紐の重要性を理解しており、心から感謝していた。すぐに移動を始め、次に食べられる魚を確保するために池に向かう。


ホワイトは周りの地形を観察しながら、池が近づいていることに気づいた。


 あれから1時間は過ぎただろうか。朝日が昇り、太陽が顔を出した。ホワイトは松明の炎を消して捨て、急いで池へ向かう。案の定、池を見つけた。


 セリナとミランダが見つけた水たまりより遥かに大きかった。彼は喜んだ。後で全員に報告できるからだ。そして魚を生け捕るためにホワイトは奮闘する。


 軽装を脱いで、下着も脱ぐ。パンツ一丁での真っ向勝負だ。剣を抜いて魚を刺すしかない。道具はないのだから。


心の中で呟く。「槍さえあれば……いや、せめて網があればな……」切実な思いだった。あれこれ2時間は経過しただろうか。


 ようやく慣れた頃には、3匹も捕れるようになっていた。彼は集中していたせいか、時間を忘れていた。ハッと我に帰ると、早く戻らないといけないことに気づいた。


彼はすぐに池から上がり、着替えて魚を吊るす。


 こうして、野生のオオカミと魚3匹を確保した彼は、全員が待っている場所へと移動を始めた。

次回、第13話。サムの奮闘記!。

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