表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/139

第11話。2日目の朝が始まります!

前回までの話では、ユリアは寝る前に自分の置かれた環境や1日の出来事を日記に書くことにした。自分の気持ちを整理して、平常心を保つために。いつの間にか睡魔が襲ってきて…朝を迎える。

 ユリアが転移してから1日目が過ぎた。朝日が昇って、太陽が顔を出した。セリナ、ミランダ、サムは早めに起きていた。身の回りのことをしていた。


 セリナとミランダは近くの水溜まりに寄った。池とは言えないけど、顔を洗うにはちょうどいい水溜まりだった。2人はしゃがんで顔を洗い、同時に口をゆすいだ。口腔洗浄だ。すると、草むらから音が聞こえてきた。


 セリナとミランダは警戒した。現れたのはユリアだった。ユリアは少し怒っているようだった。


ユリア「あのね!2人とも、結界の外に出たら危ないじゃない!」


 ユリアが追いかけてきたのだ。まだ目が虚ろで、起きたばかりだから髪もボサボサだった。それを見たセリナとミランダはクスッと笑った。


ミランダ「まったく!大人の女性が髪も整えてないのかい!こっちに来な!」


 手招きしてユリアを呼ぶ。ユリアはミランダとセリナのところに近寄り、2人に挟まれるように真ん中に座り込んだ。セリナとミランダは愛用の櫛でユリアの髪を梳いてあげた。セリナは微笑んだ。


セリナ「ユリア様の髪は綺麗ね、美しいわ」


ミランダ「あんたは顔立ちがいいから、しっかり梳ぎなさいな」


2人はユリアの髪を気に入っていた。


ユリア「ホワイトは私のことを子供扱いするの」


 2人に軽い愚痴をこぼすと、また2人はクスッと笑った。セリナとミランダは話を続ける。


ミランダ「なんだい、そんなことかい、年寄りだからね、ホワイト様は」


セリナ「ユリア様は、もう立派な大人ですわ」


ミランダ「女性だけの秘密もいいもんさね!」


ユリア「そうだわ!たまには3人で集まってお話ししたいわ!」


 ユリアの虚ろな瞳が輝いた。セリナとミランダは微笑んで頷く。こうして3人だけの秘密が誕生した。ユリアは1日前よりも機嫌が良く、表情も柔らかくなっていた。


 3人は皆のところに戻った。サムとジェイコブは何やら雑談をしていた。レオが走ってきてセリナに抱きついた。


レオ「お母さん!どこに行ってたの?」

心配していたのか、顔は悲しそうだった。


セリナ「ごめんね、顔を洗いに行ってたのよ」

レオの頭を撫でて、額に軽くキスをした。


ミランダ「ホワイト様はどこにいたんだい?」

ホワイトだけが居なくなっていた。レオが言った。


レオ「ていさつ?に行くって言ってた!」


ユリア「そう、偵察に行ったのね、まるで斥候みたい」


 単独行動をするホワイトが心配になっていた。ホワイトが単独行動してから約2時間が経過していた。全員が落ち着かない。


ジェイコブ「遅いのぅ、ホワイト殿は」

ちょうど良い大きな石に座っているジェイコブだった。


ミランダ「ったく!帰ったら説教だね!」


 ミランダはなぜか苛ついていた。腕を組んでソワソワしている。レオは母の手伝いをしていて、セリナも落ち着きがない。


 気を紛らわせるために乾いた枝を集めていた。ユリアはセリナに質問する。


ユリア「セリナ?その枝、どうするの?」


 夜でもないのに、なぜ枝を集めているのか。不思議に思ったからだ。するとセリナは答えた。


セリナ「これは矢じりを作るために集めてます」


 ホワイトが枝で矢じりを作るのを見ていたからだ。セリナはそのために集めていたのだ。


ユリア「そういえば、制作してたわね」


 ユリアも枝集めを手伝い始めた。全員が団結して枝集めを始めた。ジェイコブも「手伝う」と言ったが、皆に止められたのは言うまでもない。サムは以前から冷静だった。


 それはホワイトが偵察に出かける前にサムにあることを託していたからだ。サムはそれを名誉なことだと思っている。全員がホワイトの帰りを待っている。


 ユリアは探しに行くべきか迷っていた。だが無闇に動くと危険だと頭では理解していた。「もしもの時には魔法を」


 その時、フッとホワイトの言葉が脳内で蘇った。「我々には我々の知恵がある。その知恵で戦えばよいのだ」と。


 ユリアは心の中で呟き始める。(大丈夫、すぐに戻ってくるわ。狩りに出かけてるだけよ。私は私にできることをするだけ。ここにいる、仲間と力を合わせて。)


 仲間?ふふ、変ね、まだ1日しか会ってないのに、もう仲間だなんて。あ!日記にも書いたわね、ふふ。ユリアはクスクス笑った。


 それを見ていた全員が、多少は引いていたことは言うまでもない。特にレオは「お、お姉ちゃん?大丈夫?」と言うくらいだった。


 セリナはクスッと笑った。ミランダは「やれやれ」と笑い呆れていた。


 ジェイコブは遠くを見つめていた。「親友よ、早く戻ってきてくれ」と呟いた。


 ジェイコブとホワイトは、もはや親友同士になっていた。ホワイトはどこに行ったのか?そしてサムに何を託したのか?それはサムしか知らないことだろう。


 1日しか出会ってない者たちが、確実にお互いを助け合おうとしていた。それはこの世界だからこそなのか?それとも戦乱の世だからなのか?生き残った者たちだからなのか?魔法使い少女は、そう心の中で思っていたのだ。

次回。第12話。2日目の朝食を確保します!。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ