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新月の夜 白の鏡

作者: 椎田ろこ

月は満ち また欠ける

陽は昇り また沈む


ここは常に明るくて

暑くもなくて、寒くもなくて


光り輝く鏡の前で、日がな一日

笑ったり、叫んだり

千変万化のにらめっこ

緩急自在のひとりごと


だけれども、いつも輝く鏡面に

うつっているのは誰の顔?

きらきら輝いてるだけで、何もうつしてくれません

さんざめく光はホワイトノイズ


この世で一番って、なんなんだって

問うても問うても、はぐらかされて



陽は沈んだかな

月は欠けたかな


月は鏡

遠く見える月は、ただ映し出された陽の光


この眼前の窓が薄闇に飲まれれば

はたして、鏡さん、私を映してくれまいか


望まぬ話をしてくれまいか

足元がぐらつくような 震えのくるお話を

眼の奥が熱くなるような 刺激的なお話を


あなたは世界の主人公じゃないんだよ、って


錆びた言葉で ゆっくりと切り裂いて

鏡に映る醒めた笑顔は 興味を失くして



そうしたら、

高鳴る鼓動を、逸る気持ちを抑えながら

ほの暗い月灯りのもと、駈けゆくでしょう

ありったけの毒を胸に抱いて


この世の中には私だけじゃないんだ、って

喜びに満ちて


だから一番になれるんだ


またしても、

ひとときの安堵と落胆を繰り返しながら

憎らしい鏡とじゃれあいたいのですから


(新月の夜 白の鏡・了)

なお、新月の夜なんて存在しない模様。

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