#0 異世界でも痛い物は痛い
「──ますか!?聞こえますか!?」
今、聞こえた。でも身体中がひどく痛くてうめき声しか出せない。
「良かった……。生きてはいるみたい。皆、手伝って!」
ボクは曇りがかった意識のまま数人がかりで運ばれ、よく分からない乗り物に乗せられる。
再び狭くなっていく視界からは、ここで目を覚ますよりも前に見たオーロラがキラキラと輝いていた。
==========
目を覚ますと、木造の天井が目に入った。どうやら今ボクはベッドに寝かされているらしい。
「あっ、目が覚めたんですね!」
聞き覚えのある声がしたのでそちらを向くと、外国人を思わせるような白い肌と青い瞳で、量が多めの金髪を後ろでシンプルにまとめた女の子がいた。
「……キミが、助けてくれたの?」
「私だけではありませんよ。施設の皆と一緒に森にキノコ採りに行っていたら、突然空が光り輝いて……そこから人が落ちてくるのを見たんです。それが貴方だった、ということです」
一瞬見れたあのオーロラのことか。
「施設、ってのは?」
「ここは孤児院なんです。私はここの管理をしてます」
「そうなんだ……」
ボクと同じかそれ以下の年に見えるのに、苦労してるんだなぁ。
「……しかし、ボクよく生きてたなぁ」
「木がクッションになってたんだと思います。それにしても傷がほとんど無かったのはとてもラッキーだと思いますけど」
……そういえばもう身体もほとんど大丈夫だな。どれくらい時間が経ったんだろう?いやまぁそんなことより、
「あの、ホントに助けてくれて、ありがとう。命の恩人。ボクは、背花。背花陽一」
「フフ、どういたしまして。セバナさんですね。私はルミ・レイエと言います」
可愛い名前だなぁ。
「ところで一つ、ここって何処?」
「ここですか?ここは北ロンドロート王国のサンヴァー県ウェントン市の外れの森の孤児院です」
…………????????
「何処ここ」
閲覧ありがとうございます!ブックマーク・感想・レビュー・評価をいただけると励みになります!