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生徒会会計の憂鬱な日々  作者: とみお
春、崩壊した日常に希望はあるか
9/106

食堂にて



俺と委員長が食堂に足を踏み入れると奇声?が上がった。


「きゃああああ甲斐様だ!」

「甲斐ちゃーん!」


うん。奇声だ。


ちんまくて可愛らしい子は俺を様付けするし、ガタイがいい男はちゃん付けするし。


抱いてーだの抱かせろーだの、そんな言葉も聞こえた気がするが聞かなかったことにする。


まぁ俺が食堂に来るのが珍しいから騒ぐってのもあるだろうけど。


俺と委員長は空いている席を探し、奥の方に空いている席があったので其処に座る。


もちろん俺は挨拶される度手を振り返してそれに応えた。


「お前生徒会には専用の席あるだろ、いいのか?」


そう。委員長の言うとおり生徒会と風紀委員には専用に席がある。


二階にある其処は一般生徒は立ち入り禁止で、ウェイターと生徒会役員と風紀委員しか立ち入る事が許されていない。


緊急の場合は教師も入るときがあるけど。


「はぁー?何で?そしたらいいんちょー、一人になっちゃうじゃーん俺はいいんちょーと食べにきたんだけどー」


俺は頬杖つきながらメニューを見ていた視線を委員長へと向け答えると委員長は目を丸くした。


だってそうじゃん。俺は委員長と食べに来たのに別々に食べるとかねーよ。委員長は二階いけねーし。


それに二階とか会長とかいそうだから近づきたくねーもん。会長達の顔見たら俺キレるかもだし。


「早く決めて食べよーよ、俺ちょー腹減ったぁー」

「あ、あぁ……」


俺はタッチパネル式のメニューを委員長へと手渡し俺は机に突っ伏す。


もう俺は決めて注文した。明太子スパ。安いし多いし上手いし。


最初タッチパネル式とかハイテクだなーとか思ったけど使うと便利なんだよなこれ。


委員長は和定食を頼んでいた。うーん見た目を裏切らない。和って感じだもんな。


「――お待たせ致しました」

「ありがとーございまーす」

「どうも」


ウェイターが注文したものを持って来てくれた。


この学食は早い、美味いがモットーみたいだ。値段はピンキリだけど。


俺と委員長はそれぞれの品を受け取るとお礼を言う。礼儀は大事だ。


ウェイターは深くお辞儀をしてからありがとうございますと言い、立ち去る。


お礼を言い返されてしまった。別にお礼なんていいのに。



「あー腹減ったぁーんじゃ早速……」


「きゃああああああああああ」

「またあのオタク―――――!!!」


……うわぁ、うっせぇ。


俺が手を合わせて頂きますしようとした瞬間食堂中がライブ会場みたいな状況に。


不特定多数の叫び声。歓声。罵声。色んなものが混じり合ってる。


でもこの奇声っつーことは二つしか選択がない。


風紀委員か――いや、それはない。今の叫び声を聞けば"オタク"という単語。


最近オタクと呼ばれ、生徒に疎まれている人物は一人しかいない。


そしてその人物と共に行動をしている人間といえばーー


「大和様から離れてよオタクぅ!!!」

「和泉様にも近付くなー!」

「因幡くーん!こっちもみてー!」

「日向様ぁー!!!」


そうですよねー。うん。


我等が生徒会役員ですよ。っていうかここに来てる暇があんなら仕事しやがれっての!


しかも多分このメンツがいるってことはきっと転校生くんの取り巻きもいるんだろう。


最悪だ。こっちに気付くなよー頼むから。やたら転校生絡んで来るから本当苦手なんだって。


気付かないうちにうんざりした顔をしていたのか、委員長が俺のことを見て


「大丈夫か?」


心なしかその声には心配の色があり、俺は頭を掻きながら笑みを浮かべる。


「ん?あぁ大丈夫だよーすっごい騒ぎたよねぇー」


あぁもう。俺の演技もまだまだだなー。疲れてると地が出そうになるんだ。


スパゲッティを口へと運ぶと自然と先程浮かべた無理矢理の笑みは本物へと変わる。あぁ美味しい。


委員長は俺の顔を見るとそれ以上何も言わずに自分の食事を再開させる。


あまり追求してこない委員長は一緒にいて居心地がいい。




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