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生徒会会計の憂鬱な日々  作者: とみお
春、崩壊した日常に希望はあるか
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予想外の抱擁






朝のSHRが終わったと思ったら、あっという間に昼だ。

時間っていうのは早く過ぎるものってな。

あ、ちなみに真はSHRには間に合った。すっげぇ走って来てたけど。

真曰く「たとえ担任にスルーされたとしても遅刻は嫌だ!」らしい。真っ直ぐな男だよな。本当。


俺が憂鬱な数学は最後の授業だし。午前中の授業は平和そのものだった。

委員長の機嫌も良かったから、テスト範囲とか詳しく教えて貰えたし。範囲は分かってても先生が出すぞーって言ったことまでは分かんねぇからな、俺。

っていうか勇助くんは、昼休みと放課後どっちに来るつもりなんだろうか。

放課後なら部活があるからやっぱ今か――?でもテスト前だから、もう部活停止かもしんねぇし。うーん分かんねぇな。とりあえず俺は教室にいた方がいいだろうな。


「甲斐、昼飯はどうする?」


委員長が俺の方を向いて聞いてきた。多分一緒に食べてくれるんだろう。

真は取り締まりも兼ねて、食堂で昼食を食べるらしい。前転校生くんが騒動を起こしたからだろうなー。キスされたり、罵声浴びせられたり。真も大変だ。


「ん?あー俺、今日弁当ないから購買で買って来ようかなーって」


今日は弁当を作って来なかったし、コンビニにも寄って来なかったので俺は食料を所持していなかった。

まぁ、久しぶりに幸ちゃんに会うのもいいかなーと思ってたしな。


「――俺が買って来てやる、俺も今日は購買だしな」

「え、いいよー悪いしさぁーっていうか一緒に行くってー」

「お前はここにいろ、あの後輩に会う可能性がないわけじゃないだろ」

「あー……」


なるほど、な。

委員長はいつもなら俺の分まで買いに行くなんて言わないから驚いたけど、今の言葉ではっきりした。

委員長は俺に気を遣ってんだな。転校生くんに会ったら、彼は絶対俺に絡んでくるから。

――相変わらずいい男過ぎるって委員長。


俺は委員長の心遣いが嬉しくてへらり、と表情を緩める。


「ありがとーいいんちょー」


俺は委員長からの質問に笑顔で答えつつ、ガタガタと音をたてながら俺と委員長の机を向かい合わせにしてくっつける。


「礼を言われるまでもない、何でもいいか?」

「うん、好き嫌いないから何でもオッケー」

「分かった、金は後で良い」


委員長は財布を手に持ち、足早に教室から出て行く。早く行かないと飯の選択肢なくなるもんなー。

俺は意味もなく携帯の画面をつけたり消したりして、手持ち無沙汰な感覚を誤魔化していた。


うーん……待ってるだけってのも暇だよな。


勇助くんが来るかもしれねぇし、委員長が帰ってくるまでの間、教室の前で様子でも見てるか。

俺はそう決めると自分の席から立ち、扉の方へと向かう。

廊下にはまばらに人がいたけど、勇助くんらしい人影はない。今の時間は教室とかで飯を食べるか、食堂か購買にいくかだからあんまり廊下に人は溜まんないんだよな。やっぱ放課後に来るのか?


そんなことを考えつつボーッと廊下を眺めていると、でかい影がこっちへ迫って来るのが見えた。


「んー?」


何か、見覚えがある。

あの斜めに切り揃えられた独特の前髪は――


「いっ……甲斐、せんぱい!」


日向だ。

日向が俺のことを呼びながら駆けて来る。


っていうか顔が何だか悲しそうっていうか、泣きそうっていうか、辛そうっていうか――見ていていいものじゃなかった。

何だよ、今度は何があったんだ日向!


「どっしたのー?ひゅ、うっ!」


俺が日向のことを呼ぼうとしたら、強い力で抱きしめられた。

でも、その抱擁はけして甘くはなく縋るような感じで。

でかい体を微かに震わせながら、日向は俺の肩に顔を摺り寄せている。ほんのりと湿ったように感じるのは、気のせいだと思いたい。


本当、どうしたんだよ日向――この短い間で何があったんだ、お前は。

何だか嫌な予感が、俺の胸を過ぎった。





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