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生徒会会計の憂鬱な日々  作者: とみお
春、崩壊した日常に希望はあるか
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親衛隊隊員




俺は決めた通り二時に寝た。


その前に風呂入ったから書類は一時半過ぎ位までやったか。


まぁ、プリントに比べればやった時間は短いが、進みは書類の方が早いから。


んで六時半に起きて残りのおかず作って、飯炊いて、生姜焼き温めて。


朝御飯はトーストにコーヒー。コーヒーにはミルクと砂糖を入れる。


別にブラックでも飲めなくはねーけど苦いし。飲みすぎると胃に悪いし。


弁当を詰めると、学校へ行く支度を整え俺は部屋を出た。


今日は朝から学校だ。おお普通に学生してるぞ俺。


まだ早い時間だからか、通学路にあまり生徒はいなかった。

ちなみに今の時刻は七時半だ。大抵生徒は八時頃に登校する。


そこまで挨拶をし返さないでもいいっていうのは楽だな。


「甲斐様っおはようございます!」

「んーおはよー」


俺の方へ寄って来て、上目遣いに挨拶しに来たのは一年生の可愛らしい生徒。

多分俺の親衛隊なんだと、思う。一年生のメンバーって把握してねーんだよな。


「あ、あのこれっ!」


その可愛らしい一年が、頬を赤く染めながら差し出して来たのは巾着袋に入ってる――おそらく、弁当。


「……大丈夫なのー?」

「はいっ?!」

「俺に弁当とかあげて、上級生の隊員とかに何か言われないー?」


俺は首を傾げながら笑顔で聞いてみると、コクコクと一年生は頷く。なんか赤べこみたいだ。顔真っ赤だし。


弁当は以前何度か貰ったことがある。

お菓子とかもよく貰う。

でも一番下の学年である一年生から貰うことはあまりない。親衛隊にも上下関係ってのがあるからな。


親衛隊員同士で潰し合うとかはやめて欲しい。辛いから。


「は、はい!隊長がこういうものは早いもの勝ちなんだからグダグダ言っちゃ駄目でしょう!って!」


壱岐か。


アイツは俺に頬チューしたしな。確かに早いもの勝ちって感じだ。いや、奪ったもん勝ち?


一年が親衛隊隊長になったことで上下関係もあんまりなくなってんのか?それはそれでやべぇけど。

でもまぁ、ちゃんと壱岐が仕事してるみたいで安心するな。こっちは。


それに幸いか、周りに人は少ないからこの子が弁当を渡すところを見た人間はほとんどいない。

俺はその巾着袋を両手で受け取り、笑みを深める。


「そっかー良かったぁー、ありがとねん、ちゃんと食べて洗って返すからクラスを教えてくれるー?」

「あ、はい!ぼ、僕一年S組です!」


洗わなくて大丈夫とも言われたけど洗って返すのはマナーだろ。


っていうか一年S組か。

あんまり行きたくないクラスだな。

でも行くって言っちまったし。


「分かったー明日にでも行くねぇー」


今日にしなかったのは、俺が臆病者だからだよ。

放課後S組に行って転校生に見つかってもし絡まれたとして、さらに上総先生にプリントを渡しに行かなきゃなんねーなんて地獄だろ?

しかもS組に上総先生もいたとしたらダブルパンチだって。

想像しただけでげんなりするっての。


俺が手を振ると、一年生はぺこりと深くお辞儀をして校舎の方へ走って行った。


……俺が朝早く来るって気付いてたのだろうか。いや、それはないか。

ならば、壱岐に早い者勝ちだと言われた時から、毎日こうして待っていたのだろうか。

……そうだとしたら申し訳なさ過ぎる。


それにしても、流石に弁当二個は食べられねーな。そこまで大食いじゃねぇし。


どうしようかと考えながら、俺は道にたまたま転がってた石を蹴ると、校舎に向かって歩き出した。



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