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生徒会会計の憂鬱な日々  作者: とみお
春、崩壊した日常に希望はあるか
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委員長VS親衛隊隊長









俺は机にペンを置く。


とりあえず区切りがいい所まで仕事が終わったことに、俺は安堵の息を吐いた。


俺は机の上に置いてある時計に目をやると今の時刻を確認する。


今の時間は十二時――今から学校へ向かえば丁度昼休み。

あまり授業をサボりたくもないので、午後からだけでも学校に行くか。


俺は部屋着から制服へと着替え、授業の準備をする。委員長から貰ったノートも忘れずに入れた。


最初は借りるだけにしようと思っていたんだけど、委員長が俺は自分のノートがあるからいいと言ってくれたんだ。

つまり自分のノートから更に写してくれたってわけで。どんだけイイ奴なんだ委員長。


全部写すつもりだったけど、昨日の今日じゃ無理だった。寝ちまったし。だからちょっとだけ助けてくれよ委員長ノート。今日だけ。


そして俺は準備を終えると自分の部屋を出て学校へと向かい、着くと丁度昼休みが始まる時間だった。


とりあえず俺は自分の教室へと足を運び、扉を開くと一斉に向けられる視線。


「おはよーって……皆どうかしたのー?」


俺は周りの状況が把握出来ず、自分の席の隣に座っている委員長へと顔を向ける。

委員長の顔は呆然とした感じだったけど、それはすぐに変化し、キッと俺を睨みつけた。


え?え?俺なんかした?!


委員長はズカズカと俺の方へと近付いて来て、手を振り上げ軽く俺の頭を叩く。

最近ドメスティックなバイオレンスだよな委員長!


「お前は今度は何をしたんだ?!」

「えー?俺、何もしてないってー」

「嘘吐くな、現に今日ずっとな……」


眉を吊り上げて声を荒げる委員長。


最近委員長機嫌悪いよな、俺の所為か?

しかも何か疲れてるっぽいし。大丈夫か?何か心配になるぞ。


すると俺の肩と背中にずっしりと何かが乗って来た。


「うげぇ――っ」

「やぁーっと来たぁ、孝センパーイ」

「い、壱岐……」


俺はおもわず変な声を上げちまった。 

だってよ、俺と壱岐の体格はほとんど変わらねーってのに、そんな男が俺の背中に乗ってきたら辛いに決まってるだろ。


嬉しそうな壱岐の声を無視し、俺は手を伸ばして助けを求める。


「いいんちょー助けてぇー」

「ったく……離せお前」


委員長は俺の手を引き、壱岐の肩を軽く突き飛ばした。

手をいきなり引かれた俺はバランスを崩し、そのまま委員長の腕の中へ。

うえぇ、男に抱きとめられてるって情けねー。


「ひっでーの、この人、俺と孝センパイを引き裂くなんて」

「甲斐は嫌がってるだろう、コイツが望んだからしただけだ」


ニィ、と口の端を上げる壱岐はどこか楽しそうだ。

それに反し委員長は眉間にシワがどんどん増えていく。あぁ、折角のイケメンが台無しだって。


「何?もしかしてアンタも……」

「いーきストーップ、いいんちょーはありがとねー」


壱岐は何かを気付いたのか、きょとんと目を丸くして何か言おうとした。しかし俺が委員長の堪忍袋の緒が切れる前にそれを止めた。


「甲斐!こいつをどうにかしろ、朝から五月蝿くってたまったもんじゃない」


委員長が人を珍しく指差す。マナーに五月蝿い委員長は滅多に人を指差したりしない。

そんな委員長が指を差しているってことは、そこまで余裕が回らないってことで。

何かそんな委員長を見るのも貴重だからいいけど、何だか申し訳ない。


壱岐は両手を頭の後ろに回して唇を尖らせ、俺へと視線を向ける。


「一途って言って欲しいなー、ずっと孝センパイを待ってたってのに」


そんなに委員長を挑発すんな。という意味を込めて俺は一瞬瞳に力を入れ、壱岐を見た。


「ごめんねぇーいいんちょー、コイツ俺の親衛隊隊長だからさぁー」

「なっ、コイツが?」


俺はにこりと笑い壱岐の肩へ手を置くと、許してやってよーと頼んでみる。


委員長は壱岐が親衛隊隊長なのが意外だったのか目を見開いた。

周りも何だかざわついている。何人かはうんうんと頷いているのが見えた。

多分頷いているのは俺の親衛隊なんだろう。


「だってコイツは中等部で生徒会だった奴だぞ?」


委員長は眼鏡を直しながら俺を見ると、俺はその言葉を受け壱岐を見た。


「あ、そなのー?壱岐」

「そうなんスよー言ってなかったでしたっけ?」


聞 い て ね ぇ ん だ け ど ?


お前中等部ん時生徒会だったのかよ。余計目立つじゃねーか。


しかも多分、俺の所為で一年から生徒会入りできなかったんだよなきっと。


そのまま持ち上がり式でいけば生徒会だっただろうけど、高等部から入った新参者の俺がいたから。

うわあー何か恨まれてそうで怖えーっての。

でも壱岐は笑顔のまま、俺の首に腕を回す。


「でも俺は、孝センパイのこと愛してるからいーんスよー」


そしてまたアイツは俺に顔を近づけ――


「触るな」


近づけようとしたが、それは委員長の手にとって遮られた。


委員長の長い指が、大きな手が壱岐の顔を捕らえている。


「へぇーなるほどーそういうことかー」

「ふん、お前には関係ない」


互いにニヤリと笑い合う委員長と壱岐。

っていうか俺にはいまいち把握出来ないんだが。何二人で分かり合ってんだ?!

俺は首を傾げながら頭の中はなんだか悶々としていた。


「アンタには負けないよー」


俺の首に腕を絡めたまま、壱岐は挑発的な態度を取る。

委員長また機嫌悪くなるかなー?なんて俺は思ったけど、そうでもないらしい。


「ふん、誰に向かって口を聞いてる、敬語を使え敬語を。俺に向かって来ようなんて百年早い」


しかも指摘するとこ俺と一緒だし。何か俺らって似てる?なーんて。

キラリと逆光で光る眼鏡がなんだか格好いいぞー委員長。


不敵に笑う委員長を見ながら俺はそんなことを思っていたりなんだり。

っていうかいい加減離せ壱岐。



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