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生徒会会計の憂鬱な日々  作者: とみお
春、崩壊した日常に希望はあるか
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転校生の願い*若狭視点



孝彦とはずっと話したいと思ってた。


生徒会室に無理矢理連れて来られても、いつも孝彦の姿はなかったから。


初めて会った時、聖夜みたいに嘘の笑顔だってすぐ分かった。


「へぇー君が噂の転校生なんだー、俺は甲斐孝彦っていうんだーよろしくねぇー」


初めて生徒会室に行った時に(っていっても貴一に無理矢理連れて行かれてだったけど)会った孝彦。


その時の孝彦は仕事中で、書類を読んでいたアイツはボーっとしてるのか、真剣だったのか、どっちか分かんなかったけど格好良くて。


そして孝彦は俺の方へ視線を向けて、にっこりと微笑んでくれたんだ。でもその笑顔が偽物だって俺にはすぐ分かった。


どうして、そんな風に薄っぺらい笑顔するんだよ。やめろよ。


へらへらしてるけど何考えてる全然わかんない。それが孝彦だった。



俺は孝彦が何を考えてるか知りたくて、その後も生徒会室に来る度に孝彦の姿を探したけど中々会えなくて。


もしかして避けられてる?なんて思っちまった。でも時折生徒会室に孝彦はいて。


へらりと笑いながらいつも自分の席に座ってた。俺が貴一や大地、大気にちょっかい出されてても見てるだけって感じ。


入り難かったのかな?仲間に入ればよかったのに。俺は孝彦ともっと仲良くなりたいのに。


俺が話し掛けようとしても聖夜や乾に邪魔されたりしてそんなこんなしてる間にいつの間にかいなくなってるんだ。


貴一にどうしてあんまり孝彦が生徒会室にいないか聞いてみたら


「アイツはセフレ達との遊びで忙しいんだろ」


だってよ!ひどくねぇ?!


生徒会の仲間だってのにそんな風に言って。


孝彦も孝彦でセフレがいるとか……一人とかに決めねぇのかな……


一人に決めずフラフラして傷つくのは孝彦なのに。


でもでも!今日貴一達と一緒に食堂に行ったら、孝彦がいたんだ!


俺は大抵食堂で飯食ってるんだけど、孝彦に会うのは初めてで、何か興奮しちまった!


孝彦は俺を出迎えてくれて何だ俺、嫌われてないじゃん。避けられてないじゃん。って嬉しくなった。


でも相変わらず孝彦の笑顔は嘘ばかりで。


悲しくなったから俺はそれを指摘してやったんだ。


孝彦は首を傾げてて、もしかして無自覚なのかな?とか思ったり。だったら俺が変えたいとか思ったり。


てか何で俺こんな事思ってるんだろ?!何か恥ずかしくなってきた!


すると孝彦と一緒に飯食ってたやつがいきなり立って怒り出して。意味分かんねぇ。


確かに最初勘違いして孝彦が飯残して帰ろうとしてるのかと思って注意したけどそんなに言う事か?!



俺は驚いたけどやっぱり納得出来なくて相手を睨み付けた。


もし手を出されても大丈夫。俺、喧嘩超強いし、これでも。


だけど相手は俺なんか相手もせず、孝彦の手を引いて食堂から出て行こうとする。


――俺はこの時初めて見たんだ。



「ごめんねぇー気にしないでよー若狭くん」


本当の孝彦の笑顔。


とっても綺麗だった。優しくて温かい孝彦の本当。


ついつい俺は見惚れてしまって、立ち尽くした。


それに俺の事呼んでくれたんだ!名字だったけど。


あんまり俺の事呼んでくれた事なかったから、すっげー嬉しかった!


っていうか名前で呼んでくれていいのに!友達なんだからさ!


今度会ったら言おう!名前で呼んでくれ、ってさ。





若狭side......end



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― 新着の感想 ―
[気になる点] この子、王道ではなくアンチ王道では。 アンチ王道が増えて王道のようになってるけど、 本来の王道君の性格は大体男前包容力受けです カリスマ溢れる王道君とアンチ王道を どうか、一緒にしない…
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