怒りの委員長
俺はもちろん、生徒会役員や転校生くんは皆、委員長に視線を集める。
「人に勘違いな意見をぶつけて挙句に気色悪いだ?いい加減にしろ」
委員長の眉間にシワが寄ってる。ここまで怒ってるとこ初めて見た。いつも俺のこと怒るけど、半ば呆れ声だし。
「いいんちょー……」
しかも、もしかして俺のことで怒ってくれてんのか?これは。
その冷たい瞳に転校生もビクッと肩を震わせ、怯えた様子を見せたが、そんなのはすぐに消える。
「何だよ!そんな言い方ないだろっ!」
「黙れ、行くぞ甲斐」
転校生くんが噛み付くようにキッと委員長を睨むが、睨まれた本人はそれを一瞥し俺の手を取り歩き出した。
「あ、うん……」
委員長に半ば引きずられながらも、俺は転校生くんの方へと顔を向ける。
転校生くんのこと好きじゃないけど、チャラ男としてフォローしないとな、なんて思って。
「ごめんねぇー気にしないでよー若狭くん」
この時の笑顔は多分、心からの笑み。
委員長が俺のこと庇ってくれたのが嬉しいって笑みだ。
俺はひらひらと手を振りながら、転校生くんにそう言うと、前へと向き直し歩くスピードを速めた。
その時、転校生くんが顔を赤くしていたなんて、俺が気付くはずもなかった。




