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7.親友との再会



すごい勢いで突進してきたその人物は…


騎士団の正装である青い隊服を身につけた、スレンダーな美人だった。

スラっとした身長に腰につけている剣が似合っており、男の人よりもカッコいい女性で思わず見惚れてしまう。



一瞬誰か分からず戸惑ったが、いちごのような赤髪をみてすぐに思い出す。


「もしかしてソフィー!?」



ソフィーこと、ソフィア・オーデンブルクだった。

代々ヴェルヘイン王国の英雄騎士を多く輩出している、オーデンブルク公爵家の1人娘で…私の親友だ。


私たちは、親同士が公爵同士ということもあり、物心ついた時にはすでに一緒に遊んでいた。

10才の時、メアリーに魔法無効化能力の制御を教えてもらうまで能力の制御ができず、周りの結界や生活魔法を消してしまい、他の人の魔法道具を壊したり、人の家の結界を破って警備やセキュリティを勝手に無くしてしまうなどしていた。


そんなことばかり起こっているうちに、魔法を消す迷惑な奴として周りから疎まれて悪い噂をされるようになっていった。

友達も自然と離れていき、お茶会などの参加も断られたり、邪魔者扱いされる日々が続いていた。

そんな中、唯一変わらずに友達でいてくれたのがソフィーだった。


正義感が強く、仲間思いで心優しい女の子なのだ。



「ちょっとルーナ!私って分からなかったの!?」


「身長もずいぶん伸びてるし、雰囲気も全然違うから一瞬わからなかったよ!久しぶり!」


「久しぶり!とか言ってる場合じゃないよ!突然満月の塔に入って、連絡が取れなくなって…私がどれだけルーナのこと心配したことか…」


そう言うソフィーの目には涙が浮かんでいる。



「ごめんねソフィー」


思わずソフィーを抱きしめる。

大好きな親友との再会に胸が熱くなる。



気づけばソフィーにつられて私も涙が出てきた。



「おかえりルーナ、本当に無事でよかった、」


強く抱きしめ返してくれながらおかえりと言ってくれるソフィーに涙が止まらなくなり、2人で抱き合いながら泣きじゃくる。




すると部屋の奥から急に誰かがやってきた。


「全く…アンタたち何しに来たんだい」


声のした方に目を向けると、呆れながらこちらを見ている人がいた。


「メアリー!!」


「ルーナ、おかえり。来て早々感動の再会できたみたいだね。」




昔と変わらず、黒いローブに身を包んだ妖艶な姿のメアリーは、私に優しく微笑みかけてくれる。


そんなメアリーにただいまと言おうとした時、メアリーが持っているアップルパイに気づく。


「あ!そのアップルパイ!」


「さっきアンタが落としそうになってたアップルパイだよ。せっかく持ってきてくれたのに食べられないなんて嫌だからね。」



そう言い、アップルパイを切り分けてくれるメアリー。

どうやら私が落としかけたアップルパイを死守してくれたらしい。



「2人とも、いつまでそこで抱き合ってるんだい?早くこっちに座んな」



部屋の入り口で抱き合ったままの私とソフィーに声をかけ、店のカウンター席にアップルパイと紅茶を用意してくれている。

メアリーの甘い物好きは相変わらずのようで安心する。



ルーカスが作ってくれたアップルパイと、メアリーが用意してくれた紅茶のいい香りが部屋じゅうに広がる。


「「いただきまーす」」


さっきまで泣いていたのが嘘のように、私とソフィーは席に着き、早速アップルパイをいただく。


「ん〜!美味しい!!」


美味しすぎて思わず感動する。

サクッとしたパイ生地がリンゴの甘さと合わさって絶妙な甘酸っぱさだ。



「美味しすぎる!ルーカス君のお菓子最高!」


「本当に最高だねえ。久しぶりに食べたけど、アンタの弟また腕上げたんじゃないかい?」


メアリーもソフィーも声を揃えてアップルパイを絶賛する。

昔からお菓子作りが上手かったルーカスだが更に腕を上げたらしい。

ルーカスが作るお菓子ファンの姉としては、もうお菓子職人になった方がいいんじゃないかと本気で思ってしまうレベルだ。






絶品すぎるアップルパイを堪能しながら、私はふとある疑問が浮かんだ。



「そういえば、ソフィーはメアリーの店になんでいるの?」



私は確かにメアリーに手紙を送り、会いにきたが、ソフィーに会わせてほしいとお願いしたわけではないし、ソフィーの話すらしてないはずだ。


そもそも人間嫌いで有名なメアリーが、店に人を入れているところを今まで見たことがなかったが…一体いつから知り合いだったんだろう?



「私も昨日突然、東の魔女から手紙をもらってびっくりしちゃった。東の魔女って噂でしか聞いたことなかったから実在したんだってなったよ〜」



笑いながらそう話すソフィー。



どうやら店に呼んだのはメアリーだったらしい。5年以上前から彼女のことを知っているが、メアリーが自分から人を店に入れるなんて初めて聞いたため驚く。


何かあるに違いない。そう思い、メアリーの言葉を待つ。




すると、アップルパイを食べ終えたメアリーは紅茶を一口飲み、口を開く。





「訳を話す前に…ルーナ、私に送ってきた手紙の内容は本気なんだろうね?」





メアリーは…確かめるように、私にそう聞いてきた。


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