1/24
0.ルーナ・フォルディナント国を出る
“さようなら”
何度も悩んでようやく書けた手紙はその一言だけだった
乗っていた馬車が止まり、運転手が扉を開ける
「ルーナ様、国境の門に着きました。」
「ありがとう」
少女は馬車から降りて大きな門の前に立ち、先ほど書いたばかりの手紙に呪文を唱える
すると手紙は空高く舞い上がり、飛んでいった
「…この気持ちもどこかへ飛ばせたらいいのに。」
小さな声でそう呟き、最後に涙を残して、
ルーナ・フォルディナントはヴェルヘイン王国から姿を消した。