天神 -神族について-②
「・・・姿は違うようじゃがア=レイじゃな?何の用じゃ?」
どうやらザジウスはこちらの姿のア=レイに会うのは初めてらしい。こちらに向けていた闘志とは別に彼らしからぬ殺気を内包しながら厳しい声を上げると同族達も改めて彼という存在に畏怖する。
「うむ。ちょっと君達の動向で気になる部分があったからね。直接確かめに来たんだよ。」
「おお・・・!」
やはり彼に仕えるべきなのだ。
相変わらず眩しい光を放ちながら優しい笑みを浮かべるア=レイに思わず跪きそうになったが、せめてザジウスを処理できるまでは我慢すべきだと思い留まる。
どう動くのだろう。彼自らが破格の力で皆の眼を覚ましてくれるのだろうか?
その力がこちらに向く事は無いと信じ切っているソ=ノ=フォウドは、まるで童心に返ったかのような気持ちにわくわくしているとまずは意外な内容が耳に届いた。
「なるほど。君の中にヴァッツの力が宿っているね。だから内紛に発展している訳だ。」
「何じゃと?」
ア=レイは一切警戒する様子もなく地を離れ、中空にいるザジウスにゆっくり近づいて品定めするかのように視線を向けている。
そして視線を集める本人は大層気に入らなかったらしい。怒気も放って威嚇するがア=レイは正に暖簾に腕押しといった様子で全く気にも留めていない。
「・・・奴には力を奪われただけじゃぞ?」
「ふっふっふ。力って言うのは暴力だけじゃない。ま、私も人間の世界で生活して学んだんだけどね?」
ザジウスだけが『神界』で唯一保守的な立場を取っている理由はそれなのか?あの憎きヴァッツがここでも悪い影響を及ぼしているのか?
「・・・ザジウス。人間如きに肩入れして我らの革命を阻むとは。堕ちたものだな?」
であればこれを利用しない手はない。
幸いこの場には『神族』のほとんどが集まっている。ここで奴を首長の座から引きずりおろせば、自分達が新しい『神界』を作り上げていく事も可能ではないか。
「ソ=ノ=フォウド、君は面白いけど私の邪魔をする事までは許してないよ?」
ところが欲を張り過ぎたらしい。ア=レイが聞いた事のない声色で呼びかけてくると自身の体は思考を通さずに中空で跪く姿勢を取るだけでなく、完全に声を失ってしまった。
「いいかいザジウス?世の中には脆弱だけど目に見えない力も存在する。権力や知力、他にも信じる力、っていうのもね。」
「・・・・・わしが権力に溺れているとでも?」
「いいや。言ったでしょ?君は無意識にヴァッツという存在を崇めている。畏怖している。その信心に奴も応えてるらしい。」
まさか。
発言を禁じられているソ=ノ=フォウドも思わず呟かずにはいられない。
自分達は『神族』であり、崇められる対象なのだ。それなのにたかが人間を崇めるなど、神の一族としてあるまじき行為だ。
今なら間違いなくザジウスを失脚させられる。だがこれ以上ア=レイの機嫌を損ねるのは不味いとわかっているソ=ノ=フォウドに行動が起こせる筈もなく、先の全く読めない展開を見守るしかなかった。
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