天神 -備えあれば患いなし-⑨
先程までのヴァッツではない。カズキ達に対する信頼関係も感じるし、彼もそれを信じて告白してくれている筈だ。
なのに言っている意味がわからなくて3人がきょとんとしているといち早くショウが立て直したらしい。
「その、言えない事とは?」
「うん!それを言えないっていう事を伝えたいんだ!!」
「お、おう?」
「・・・・・その理由を教えて貰ってもいいかな?」
流石に先程のやり取りからクレイスも強くは問い質さない。ただ不思議だという感情に若干の苛立ちも読み取ったカズキはやった事もない咳払いで場の緊張を解せないか試してみる。
「うん!えっとね・・・あれ?どうやって説明すればいいんだろ?」
「「「・・・ぇぇぇ~?」」」
すっかり自分を取り戻したヴァッツはとても彼らしい仕草で小首を傾げると3人も困惑の声を漏らす。
「その内容だと何もわかんねぇぞ?内緒なのはいいとしてどう影響するのかくらいは教えてくれてもいいんじゃないか?無理のない程度で。な?」
「そ、そうですね・・・しかしヴァッツ自身が説明に困るという事は相当難しい問題なのでしょうか?例えば・・・むむむ・・・ヴァッツに関して難しい事象・・・何か起こり得ますかね?」
「う~ん・・・でも今の話し方だとそんなに心配する必要はないのかな?」
仕方なくカズキ達は各々の思った事を並べてみても埒はあかない。ただその間もヴァッツは言葉を選んでいたらしい。4人が4人とも苦悩する中、彼は目を光らせるとこれだ!といった様子で再び口を開く。
「・・・つまり~、オレが『これ』をすると力を取り戻せる筈なんだけど・・・それをしちゃうと世界が消えちゃう・・・って事でいい?」
「「「・・・・・ええ?!」」」
駄目だ。どうやら彼が内緒にしようとしてる内容はとんでもない事らしい。
これを放置していていいのか?というか力を取り戻したら世界が消えるとかどういう状況なのだ?
「だから俺は力を取り戻さない!!っていうのが言えない事!!」
「・・・なんか、ほぼ言っちゃってるような気はするけど・・・」
「力を取り戻すのと引き換えに世界が消滅する、というのは確かにおいそれと口に出すのはよろしくないですね。」
「まぁヴァッツの力に頼らず国家を護り抜くと約束したんだ。お前は今のままで大丈夫だぜ。」
そもそもこの国を、世界を護る為の力を世界を滅ぼしてまで取り戻す意味はないだろう。であればやはり最初の誓い通り、3人が全力でヴァッツを支えていく必要がある。
「よかった~!オレもオレ自身の事は正直よくわかってないんだよね~!」
それもまた破格故か。
最後の一言こそが最も重要な真実だった事には誰一人気付かず、『神族』への対抗とヴァッツの秘密を共有出来ただけで歓喜に包まれた4人は出会った頃のような身軽さを取り戻すと、その夜は少しだけ酒を酌み交わすのだった。
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