天神 -神々の復讐-⑦
「しかし不思議だな。力を失ってから崩壊した『神界』とやらでは元『神族』達が己の利だけを求めて同族を蹂躙していたのだろう?なのに何故お前はそれらに復讐しないのだ?」
傲慢と言う意味では人間の中でも相当上位に入るア=ディラファだけはすぐに違和感を覚えたらしい。表情一つ変えずに質問してくるとイラも含めて全員が目を丸くする。
「・・・ほんとだ。何でだろう?」
成す術もないイラは奴隷のような扱いを受けていた。そんな中ソ=ノ=フォウドだけは自分を囲った後、幾分ましな扱いをしてくれたので今も付き従っている訳だがそれでも思い出したくない過去は深く脳裏に刻まれている。
なのに『神族』達は力が戻った事にのみ歓喜し、過去の行いを棚に上げて『神界』の体制を変える為と何故かザジウス1人に戦いを挑んでいるのだ。
おかしい。おかしいぞ?
再び力を失った今だからわかる。本当に倒すべき存在は自分を含めて女達を犯し続けたソ=ノ=フォウドやヘル=ラーといった男神である筈だ。
「・・・私、確かにそんなに頭は良くないけど・・・こんな単純な事を忘れてたなんて・・・」
指摘を受けて激しく動揺するが無理もない。ア=レイによって力を取り戻した『神族』は彼の術中に嵌っているのだから。
「・・・まぁ、力を失った代わりに決別出来たと考えれば納得出来るんじゃないかの?」
「そんな訳ないでしょ?!もう一回力が戻ったら今度こそ!!あの野蛮な男達を殺してやる!!でも一人だけ救い出されたイェ=イレィも気に入らないから嫌味だけは言いに行くわ!!」
「お~、元気になって何よりだね。でも一応捕虜だからね?手荒な真似はしないけど大人しくしててね?」
今度こそ忘れずに心に刻もう。そう決意したイラは鼻息を荒くして立ち上がったのだがメラーヴィに釘と水をさされるとそれは一瞬で霧散し、頬を大きく膨らませる。
「捕虜・・・捕虜か・・・そういえば捕虜って何してればいいの?」
幸い彼女を捕まえたワーディライはかなり慈悲深い人物なので本当に手荒な真似をするつもりはないようだが、人間世界に精通している訳でも興味もなかったので自分の立場はいまいちよくわかっていない。
「そうだね。とりあえず『トリスト』の連中が来るまではワーディライの仕事を手伝ってあげてよ。いいよね?」
「はぁ・・・まぁ・・・しかしこの少女、あまり役に立ちそうもない・・・」
「あんたねぇ?!ちょっとばかり強いからって海の神を馬鹿にしないでよね?!」
それでもあの地獄のような世界よりはましなのかもしれない。イラは悔しさを晴らす為だけに虚勢を張って見せるとその日から早速家畜の御世話を任される。
「こらぁ!!たかが羊の分際で生意気よ?!私の言う事を聞きなさ~い!!」
ところが新参者という理由からか言葉の通じない動物達が全くいう事を聞かず、力を失うとはこういう事なのかと妙なところで痛感していた。
いつもご愛読いただきありがとうございます。
本作品への質問、誤字などございましたらお気軽にご連絡下さい。
あと登場人物を描いて上げたりしています。
よろしければ一度覗いてみて下さい。↓(´・ω・`)
https://twitter.com/@yoshioka_garyu




