天神 -神々の復讐-①
『神族』の戦いはその頂点に立つザジウスが圧倒的に有利だった。
『全知全能』という力は伊達ではない。これを以って非常に癖のある『神族』を束ねてきたのだから当然だ
ただ『神族』達も一人一人が世界を軽く滅ぼせる力を保有している。そしてヴァッツによりその全てを奪われた後、人間と同じような生活を強いられていた彼らは非常に、非常に怨恨が溜まっていた。
そこにア=レイという破格が登場した事で溢れ出そうな負の感情を開放する機会を得たのだから強欲で我儘な彼らが止まる筈もない。
一度は破壊された秩序に縋る者などおらず、それを唯一諫めようとしていたのが長であるザジウスだけとなるとこれこそが神々の戦争、最終戦争と言われても何ら不思議ではなかった。
「・・・流石はザジウスだ。まさか全ての『神族』を相手に一歩も引けを取らないとは・・・」
革命軍が求めるのは新たな秩序と世界。その為にザジウスを討伐、もしくは完全なる排除が必要なのだがそれが果てしなく遠いと認識し始めると他の『神族』達も迷いが生じ始める。
もしかすると自分達は勝てないのではないか。長年『神族』を率いてきた力は伊達ではない。だとすれば頃合いを見て和睦の道を選ぶべきでは?
そういった不協和音から戦力と統制が乱れると後は容易い。
『全知全能』の能力も相まって時に真逆の属性で押しつぶされ、時に弱体化を受け、時には己の得意分野で撃ち負けると革命軍、いや、反乱軍は少しずつ鎮圧されていく。
後はこのままもとの『神界』に戻るのを待つだけか。
いくらかの『神族』が断念や畏怖、反省といった色を見せ始めるがそれはごく一部だけだ。何故なら彼らは非常に傲慢なのだから。
「・・・さて、あっちは強い奴らに任せてっと。でもどうしようかな。」
あまり戦いに向いていないイラは戦況を見てこっそり離脱するとまずは西のジャカルド大陸に降り立つ。
最初から『神界』の行く末などどうでも良かった。目的はあの地獄のような状況から一人だけ抜け出した同族を始末する事にあるのだから。
しかし何故か『悪魔族』と組んでいるイェ=イレィを殺すのは中々に骨が折れそうだ。なのでまずは弱点、もしくは弱体化を望める材料を集める為に距離を置いて舞い降りた訳だ。
(『悪魔』の弱点といえば光っていう印象だけど・・・あいつにそんな抽象的なものが通用するかな?)
あの戦いで奴の口から放たれた青白い光、とにかくあれを食らうのは不味い。
仮にも神と崇められる存在であり、人間とは比べ物にならない強さを保有している『神族』があの一撃だけで体中の激痛から思考すら奪われてしまったのだ。
少なくともあれを封じたい、もしくは『悪魔』とイェ=イレィを離してから攻撃を仕掛けねば勝機はないだろう。
そもそもこの世界を担当していたのがザジウスというのもあって部外者だったイラは情勢に全く詳しくない。
なので一先ず彼らにばれないよう離れた大陸で軽く情報収集してみようと考えたのだが、既に東西での報告機構が出来ている事にはまだ気が付けていなかった。
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