表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇を統べる者  作者: 吉岡 我龍
天神
407/442

天神 -残される人々-⑤

 クレイスとイルフォシアの問題は何とか解決の目途が付いたが残る問題も大きい。

そこでメイも訓練場から一度離れるとヴァッツの様子を見に行ってみる事にした。ハルカの話では彼もまた護るべきものを護りきれなかった事が相当堪えているらしい。

大怪我は勝手に治るので全く気にしていないそうだがそもそも彼の体に怪我を負わせるなど可能だろうか?

自身も5年前、兄の死により理性を失ってヴァッツに全てを賭けた攻撃を仕掛けた。そして一瞬で命を燃やし尽くしてこの世を去ったのだが記憶を辿っても彼には痛痒すら与えられていなかった。

(ア=レイだっけ?一体何者なんだろう?)

話では『七神』の1人らしいが長であるティナマが全く認識していないという。

更にタシンも遭遇したと聞いているが、では何故彼女は無事なのだ?ヴァッツに大怪我を負わすのであれば敵対しているのは疑いようがない。なのに何故だ?


その部分に引っかかったメイは見つからない答えを模索しつつ、いつの間にか彼の部屋へ通されると中では別の問題が発生していたらしい。


「・・・この女豹は私が追い払いますのでヴァッツ様はごゆっくりとお休みなさってください。」

「・・・ヴァッツ様、このような下劣な人間を傍に置かれますといらぬ誤解を生みかねません。どうでしょう?私が自国に連れ帰ってしかるべき処罰を与えましょうか?」

「お二人とも、ヴァッツ様の御前ですよ。もう少し控えて下さい。」

仕えている人物が破格過ぎる故の弊害だろう。騒動の当事者が異国の女王という事もあって仲裁するにも相当な気を使っている兄の姿が少しおかしく、そして大変そうだなぁと感じながら中へ通されたメイは室内にいた全員と目が合ったのでまずは軽く会釈をしてみせた。

「あれ?メイ?珍しいね?クンシェオルトに用事?」

それから落ち込んでいると聞いていたヴァッツからわりと普段通りの様子で尋ねられたので少し安心しながら事情を説明する。


「いえ、ヴァッツ様が未だ本調子でないとお聞きしていましたのでご様子をと・・・お元気そうですね?」


「うん!でも皆が心配だっていって自由にさせてくれないんだ。・・・メイからもクンシェオルトに大丈夫だって言ってくれない?」

「ヴァッツ様?」

どうやら過干渉は他の人間にも悪影響を与えているようだ。初めて彼の事を少しだけ理解出来たメイは苦笑を浮かべると次の瞬間には兄に向って満面の作り笑いを向けて見せた。

「はっはっは。兄というのは妹に弱いものらしいですな。」

レドラもクンシェオルトの見せたことのない狼狽を素早く見抜いたのだろう。笑って場の雰囲気を和ませるとメイも遠慮する事無くヴァッツの隣に腰を下ろしたのだから今度はハーラーとイェ=イレィが鬼の形相を浮かべ始める。

「メイ・・・と言いましたね?誰の許しを得てヴァッツ様の御傍に腰を下ろしたのですか?」

「あら?私とヴァッツ様は本気で交わった仲ですもの。遠慮なんていりません、よね?」


「「「「「「「「えっ?」」」」」」」」


嘘は言っていない。ただ自分が命を懸けた戦いを少し言い換えただけだ。だがその意図は本人にも伝わっていないのか、隣で彼がきょとんとした表情を浮かべているので自然と笑みが零れる。

「イェ=イレィ様もハーラー様もそんなにぴりぴりしないで。ヴァッツ様も大丈夫だと仰っているのですから、ゆっくりお茶でも頂きましょう。」

「「・・・・・」」

この場を収めるだけでも役には立てただろうか。ハルカのとても面白い表情が少し気がかりだったが重苦しい雰囲気を一掃した事で僅かに自己満足を得たメイは心の底から笑っていた。

いつもご愛読いただきありがとうございます。

本作品への質問、誤字などございましたらお気軽にご連絡下さい。

あと登場人物を描いて上げたりしています。

よろしければ一度覗いてみて下さい。↓(´・ω・`)


https://twitter.com/@yoshioka_garyu

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ