天神 -残される人々-①
誰の意思で再びこの世に舞い戻ったのか。兄はそこについて慎重な様子だったがメイは理由がどうあれ後悔しないように生きたかった。
だから『トリスト』での生活が始まると自らを鍛える道を進んだのだ。今度は必ず兄や友人達の役に立てるようにと。
「ドラーヘム!!いっつもいっつも無茶ばっかりして!!これは訓練なんだよ?!」
「訓練でも本気でやらなきゃいけないだろ?!僕は『剣撃士団』に入りたいんだ!!こんな所で足踏みしている訳にはいかないんだよ!!」
ところが集団活動に慣れていないものあるだろう。特にここでは猛者が多く、そして猛者の多くは傲慢な人間が多い。
その中でも珍しく自分より年下であるドラーヘムとは非常にそりが合わないのか、毎回毎回けんかのようなやり取りをしては周囲を困惑させていた。
「何だまたお前らか。ほんと元気だなぁ。」
「「あっ!チュチュ様!!」」
なので訓練にはその都度仲裁が出来る人物が必要だった。といっても層が厚いこの国では誰かしらが城内にいるので今回はチュチュによって2人の言い合いは一時中断される。
「今はこの国どころか世界が大変なんだ。幼さが残っているとはいえあんまりいざこざを起こすんじゃないぞ?」
「でもチュチュ様!ドラーヘムってば怪我させるつもりで打ち込んでるんですよ?!流石にやりすぎじゃないですか?!」
「僕はまだまだ弱いから!!早く強くなってカズキ様のお役に立ちたいんです!!」
確かに彼の訓練態度は鬼気迫るものがある。少し前にはオスローという少し性根の曲がった青年をねじ伏せたのもそういった覚悟があったからだろう。
「あ~あ~、言いたいことはわかる。だが今回はメイの言い分が正しい。いいか?訓練とはいえ怪我や下手をすりゃ死んじまう恐れだってあるんだ。お前だって仲間を殺したくないだろ?」
しかしこの辺りは流石歴戦の勇将だ。とても説得力のある言葉に生意気なドラーヘムも12歳っぽく落ち込むが喧嘩とは両成敗されるものなのだ。
「しかしやる気だけは買ってやる。だからもし本気で立ち合い稽古をしたいのならあたしやメイに言えばいいさ。」
「ええっ?!わ、私ですか?!」
「ああ。お前は『闇の血族』っていうのを抜きにしても相当筋が良い。互いに敬意をもって真剣に打ち込めば2人ともまだまだ伸びるはずだぞ。」
気さくだが信用のおける彼女からそう言われると悪い気はしない。むしろ自分もまだまだ力をつけたいと考えているのでそれは願ったりなのだが・・・
「・・・僕、メイとは訓練したくないです!すぐ小言を言ってくるし!」
「私だってあなたの無茶な立ち回りをいちいち注意したくないわよ!!」
お互いが気の強い性格なのですぐにこうなってしまうのだ。それを見たチュチュもやれやれといった様子だが負けん気という意味では戦いに向いているともいえる。
故に軽く宥める程度に留めると2人を敬遠しがちな訓練場ではあまり近づきたいという理由から追いやられた2人の立ち合い稽古へと発展してしまうのだった。
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