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闇を統べる者  作者: 吉岡 我龍
天神
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天神 -手の平で踊れ-⑥

 自身も『天界』の危機を伝えた後、すぐに戻ろうとしたのだがそれより先にヴァッツが姿を消し、再び現したので皆も目を丸くする。

更に胸元に大きな傷を負っているのだから理解が追い付かなかった。まさかこの一瞬でソ=ノ=フォウドにやられたのか?だが『神族』から力を全て奪える彼がそんな失態を犯すだろうか?

「ヴァッツ?!ま、またア=レイが現れたの?!」

そんな疑問はクレイスの叫びによって多少把握出来る。どうやら直近でも似たようなことがあったらしい。周囲も素早く手当の準備を始めながらも悲壮感がないのはその証拠だ。

それよりもあのヴァッツが悔しそうな表情を浮かべていきなり立ち上がった方が驚いた。胸には未だ大きな傷が開いており、中が見えてしまっているにも拘らず痛みや苦しみといった様子を感じないのは流石破格といったところか。

しかし突然自身の傷に右手を突っ込んでそこから手の平に収まる程の光の玉を無理矢理取り出したのには唖然とするしかない。見せられている方が痛みで顔を歪ませかねない状況だが本人は別の感情からか、表情には明確な憤怒が浮かんでいる。


「・・・ア=レイ・・・あれがオレの・・・」


俺の、何だ?

何かを言いかけているので周囲も作業の手を止めて注目していたがその続きが語られることはなく、血と光が滴る妙な物質を右手に握った彼はこれまた見た事がない程落胆している。

ただ今は一刻を争うのだ。ヴァッツに何があったのかの解明は後にして、まずは『天界』に現れた『神族』について話を切り出そうとした時、まるで心を読まれていたかのように答えを告げられた。

「ごめん・・・ウォルト・・・」

短い言葉だったがそこに全てが集約されているのだろう。察したウォルトも何か返そうと口を薄く開くが言葉は出てこない。

「・・・誰一人、助からなかったのですか?」

「・・・・・うん。誰一人、助けられなかった。」

それでも詳しい事情を聞きたくて、聞きたくなかった彼は責任感だけで問いかけたもののセイラムだけでなく、最近はずっと一緒にいたザウジェもこの世からいなくなったと知った時、初めて彼女への気持ちに気が付いてしまった。


「・・・ヴァッツ様、誰一人というのは・・・」


だが訃報はウォルトだけのものではないのだ。この場には『天界』の王セイラムの忘れ形見となったイルフォシアにアルヴィーヌもいる。特に妹の方は聡明で2人のやり取りから自身の父も亡くなったと察したのだろう。

「・・・本当にごめん。」

ヴァッツを責めたりはしない。ウォルトと同じように最低限の言葉で確認だけ取ると彼女は大きな翼を顕現させて大窓から飛び出した。もちろん彼女が向かった所で無駄死にするのが関の山だ。

だからクレイスがすぐさま後を追ったのだと一瞬考えたが、僅かな恋心と失恋を同時に知ってしまったウォルトはすぐに考えを改める。

彼もまた愛する者を死なせたくないのだ。だから止める為に動いた。やっと知り得た感情に納得はしつつも伴侶となるはずだった異性は既にこの世にいない。

(・・・すまなかったな。ザウジェ。)

せめてもう少し早くこの感情に気が付いていれば。ウォルトも未だかつてない大きな後悔に落胆を覚えたが話はここで終わらないのだ。


「ヴァッツ。その傷大丈夫?」


悲壮感漂う中、ここでもう一人の『天族』アルヴィーヌが静かに尋ねるとヴァッツは寂しい笑顔を浮かべて右手に握られている光の玉を一瞬で粉々に潰す。と同時に彼の傷は一瞬で回復していた。

いつもご愛読いただきありがとうございます。

本作品への質問、誤字などございましたらお気軽にご連絡下さい。

あと登場人物を描いて上げたりしています。

よろしければ一度覗いてみて下さい。↓(´・ω・`)


https://twitter.com/@yoshioka_garyu

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