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闇を統べる者  作者: 吉岡 我龍
恩義
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恩義 -傾国と美女-⑦

 わかりやすくリリーに執着していたサンヌ王の野望も本人の気性の荒さとヴァッツと呼ばれる大将軍が彼女を連れて逃げるように退室した事で無理矢理幕は閉じる。


「しかし困りましたね。元の世界にも戻れないとなると・・・」

そしてなし崩し的によくわからない一行に連れられたハーラーは化粧が崩れるもの気にせずどんよりと落ち込んでいると、先程の場面で一度も声を上げなかった少女がこちらをまじまじと見つめながら声をかけてきた。

「それよりハーラーだっけ?色んな人に取り入って来たみたいだけどそれって何か目的があるの?それとも自分の欲を満たす為だけ?」

「・・・どうでもいいでしょ?あんたには関係ないんだから。」

馬車には他にリリーやハーラーを含めて4人が乗っていたのだが、その中でも一番背丈が低く、幼い少女が子供のような目で尋ねてきたのを不機嫌そうに突っぱねる。


「どうでもよくはないわよ?あなたは今『トリスト』の保護下にあるんだから。私達には尋問する権利があるの。おわかり?」


「はぁ?小娘が私に指図しようっていうの?」

男こそ沢山見定めてきたものの同性の、しかも相当な年下などに全く興味のないハーラーはハルカの高圧的な態度に我慢できなかった。故に男の前では絶対に見せない歪んだ表情とどすの利いた声で突っぱねようとしたのだが流石に相手が悪い。

「ったたたっ?!ちょっと?!な、何するのよぉ?!」

「おいハルカ、あんまり乱暴はするなよ?ヴァッツ様が悲しまれるからな。」

「だってお姉様、この人自分の立場が全く分かってないんですもの。言っておくけど今のあなたは捕虜よ?拘束されてないだけ有難く思ってよね?」

隣に座られていたのもあるだろうが、それにしても小柄な体からは想像もつかない早業と力でこちらの腕を取るとあっという間に肘の関節を固めてしまったのだから狼狽するしかない。

「ほ、捕虜ですって?!わ、私は強王ムチャカの妃よ?!あんたなんかあの人に一瞬で殺されるんだから!!」

「でも貴女がいた世界はもう滅んでるんですよね?ムチャカ王もどこか別世界に迷い込んでいない限り、既に命を落とされているのでは?」

どいつもこいつも何故こんなに人の神経を逆撫でしてくるのか。ほとんど言葉を発しなかった長い黒髪の少女はかの強王が死んでいると口にしたのでハーラーは腕の痛みと不安から金切り声を上げる。


「そ、そそ、そんな訳ないでしょぉおぉ?!あの人は私がやっと堕とした大事な戦力なのよぉ?!死ぬなんてありえなぁぁあぁいぃっ!!」


すると3人の少女は目を丸くしたり両耳を手で覆ったりと様々な反応を見せた。ただハルカという少女だけは両手が塞がっていたのと至近距離で聞かされた大声が大層気に入らなかったのか、無言で締め上げる強さを二段階程上げてきたのでこちらも声と気を失いそうだ。

「・・・あのなぁ。仮にも自分の夫だろ?大事な戦力って言い方はどうかと思うぜ?」

全く何と忌々しく憎々しい。どうせリリーという少女も他人より優れた容姿を使って様々な男に貢がせていくに違いないのだ。いや、サンヌ王の反応から既に何人もの男を手玉に取っているのだろう。

「しかしそれがハーラー様の生き方なのでしょう。少し愛が足りない気もしますが私達が強く言うのもまた違う気はしますね。」

最後は時雨と呼ばれる少女がそう言うと他の2人もこちらへの興味を失ったのか、馬車内はとても静かに旅は続く。そうして目的地もわからない最中、ハーラーは少しずつ落ち着きを取り戻すと己の本性を思い出すのだった。

いつもご愛読いただきありがとうございます。

本作品への質問、誤字などございましたらお気軽にご連絡下さい。

あと登場人物を描いて上げたりしています。

よろしければ一度覗いてみて下さい。↓(´・ω・`)


https://twitter.com/@yoshioka_garyu

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