表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇を統べる者  作者: 吉岡 我龍
恩義
357/389

恩義 -傾国と美女-④

 矜持の全てを憎悪と苛立ちに変えつつ過ごして数日後、遂に転機が訪れる。

「ハーラー。サンヌ王の執務室へ来るように。」

それを侍女たちの前で堂々と告げられたのだから感情は一気に有頂天だ。愛妾か、それとも王妃か。油断こそしてはいないが国王の前に呼び出されるというのは相当大きな事情があるのは間違いない。

初めて入る国王の執務室の光景はこの先見慣れたものへと変化していくのだろう。そう確信を持って謁見に臨むと室内には既に国王以外の人間が何人か控えていた。

「おや?この方がハーラー様ですか。」

まず最初に口を開いたのは燃えるような赤毛を持つ隻眼の青年だ。衣装から見るに相当高貴な身分なのだろうが右目に遺る大きな十字の傷ろ雰囲気も相まって妙な威圧感を醸し出している。


「うむ。『トリスト』の異邦人を取り締まる立場を考えて引き渡してやろう。もちろんこちらの条件も飲んでもらうがな?」


・・・・・まさか?

決して愚鈍ではないハーラーはまたも自分の身が訳の分からない取引に使われるのだと察すると先程までの高揚感は一瞬で霧散する。侍女として過ごす中でどうやら自分がかなり遠くの地からここへ迷い込んだというのは何となく理解していたが、それだけでこうも落ちぶれるものなのだろうか?

「条件とは?」

「うむ!!リリーを我が愛妾にする!!良いな?!」


「言い訳ねぇだろ?!」


体格の良い青年の後ろに隠れていた為見えなかったが国王の声に反応して随分と口汚い言葉が返って来るとハーラーは興味から少しだけそちらを覗き込む。

そしてずいっと姿を現したのはこの世の者とは思えぬほど透明感のある肌に瞬きすら忘れて見入ってしまう容姿、眩しい程の輝きを見せる翡翠の髪と吸い込まれそうな大きな紅色の瞳を持つ少女だ。

「まぁまぁリリー、落ち着いて?ほらほら~良い子だね~!」

そんな少女は何故か青い短髪の青年に宥められながら頭を撫でられると羞恥から、いや、歓喜から頬を紅潮させて押し黙ってしまった。

「ほう?であれば引き渡す訳にはいかんな。さっさと帰るが良い。」

どうやらサンヌ王はあのリリーという少女に御執心のようだ。確かに口汚さは置いておいて、それこそ街を歩けば男女が振り向いて足を止めるであろう美貌にハーラーも認めたくない敗北が脳裏を過ってしまう。


「・・・そもそも彼女は本当にハーラー様なのですか?何故か侍女の格好をしていますし。」


「我が国が引き取ったのだ。どう扱おうと私の勝手であろう?」

「ふむ・・・ハーラー様、もしよろしければ貴女の身の上話を聞かせて頂けませんか?この地に辿り着く前はウラヴィ大陸の何処で、何をしていたかを。」

最近ずっとその話ばかりだ。ややうんざりしていたハーラーは僅かに小さな溜息をついてみせると強王ムチャカの王妃だった事に、それまでは自室で寛いでいた事を簡潔に告げる。

「ふ~む・・・それだけだとこちらの入手していた情報だけで話が作れてしまいますね。サンヌ王?」

「ほう?!この私がそんな小狡い真似をすると申すか?!」

「え~?だって一度リリーに呪術を掛けたじゃん・・・ね?」

呪術というものは何なのかさっぱりわからないがサンヌ王が以前からリリーという少女を狙っていたというのはよく理解出来た。今回、ハーラーの身柄がそれに利用される事も。


「・・・いい加減にして・・・私は・・・私は数多の男を虜にしてきた絶世の美女、ハーラーよっ?!」


そして堪忍袋の緒が切れたこの日、国王や重臣達の前で遂に積もっていた感情が爆発すると周囲の視線を一心に浴びる事となる。

いつもご愛読いただきありがとうございます。

本作品への質問、誤字などございましたらお気軽にご連絡下さい。

あと登場人物を描いて上げたりしています。

よろしければ一度覗いてみて下さい。↓(´・ω・`)


https://twitter.com/@yoshioka_garyu

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ