恩義 -染め模様-②
「ふむふむ。彼はわざとぶっきらぼうを装っているけど私の感情を機敏に捉えてくれる。なるほど。」
「あ、あの?!アルヴィーヌ様?!そ、それは俺の聞こえない所でやってもらえますか?!」
「え~・・・面倒臭いな。それじゃ少しだけお散歩しようか。」
空を飛ぶと黒い竜達も反応してついてきてしまうのでアルヴィーヌは適当に歩き出す。そして声が届かない場所まで移動すると再びアナに手の平を向けて差し出した。
「それでそれで?アナはフランシスカと結婚したいの?」
単純な問いかけは彼女が少し気恥ずかしそうに頷くだけで終わるとアルヴィーヌも何となく頷いて見せる。であれば後は許可を出すだけで解決だと今までなら単純に話をまとめていただろう。
ところがフランシスカの言う「俺の意思」という言葉に引っかかった。
本来婚約とは互いの意思が重要であり、いくらアナが夫婦になりたいと言っても彼が同意しない事には話にならない。だがプレオスはアルヴィーヌに処遇を決めて良いと言っている。
となると無理矢理許可する事が最適解だとは言い難い。よくわからなくなってきたアルヴィーヌは腕を組んで小首を傾げた後、再びアナに問いかける。
「さっきフランシスカが俺の意思って言ってたけどあれはアナの事あんまり好きじゃないって事なのかな?でもいつも一緒にいるよね?だったらもう夫婦みたいなものじゃないの?なのに結婚には反対したいような感じだったし?あれ?何で?」
質問してて自分でもよくわからなくなってきたがアナはその答えを察していたらしい。すぐにこちらの手の平に言葉を綴り始めるとアルヴィーヌは更に小首を傾げる。
「ふむふむ?私が犯罪者だから結婚は出来ないと考えている?何で?ふむふむ?彼は『ネ=ウィン』っていう国の立派な将軍だから?え~?でも私の周りの将軍もそんな立派じゃないよ?」
その時彼女の脳裏に浮かんだのはヴァッツを始め、クレイスにカズキといった面々で威厳や威光というよりあくまで甥っ子とその友達としかとらえられなかったからだろう。本心から不思議そうに呟くとアナは目を丸くして固まってしまった。
「・・・・・よし。わからないからフランシスカにも聞いてみよう。」
そして慌てる彼女をよそにアルヴィーヌはととと~と彼らの下に戻ると今度はフランシスカの手を引いて逆方向に散歩を始める。
「な、何ですかアルヴィーヌ様?!も、もしかしてアナが何か失礼を?!」
「違う違う。そうじゃない。あのねフランシスカ、あなたはアナと結婚したいの?したくないの?」
折角本人達が近くにいるのだから直接問い質せば良い。とても単純明快な方法に行き着いたアルヴィーヌは2回目の二者面談を始めるとフランシスカの気恥ずかしそうな様子がアナと被る。
「け、結婚ですか・・・いや、だってアナは別世界の人間ですし、もし突然そっちに帰る事になったりしたらその・・・困るじゃないですか。」
しかしお互いの気に掛ける内容に大きな齟齬があった事で再び大きく小首を傾げてしまった。
「あれ?フランシスカは立派な将軍だから犯罪者のアナと結婚したくないんじゃないの?」
「えっ?そんな事考えた事もありませんが・・・それ、もしかしてアナが言ってたんですか?」
「うん。でもアナは結婚したいって思ってるみたいだけど。フランシスカはどうなの?アナが帰らないんだったら結婚したい?」
「・・・・・そうですね。彼女がずっと傍にいてくれるなら・・・・・」
「じゃあやっぱり許可します。おめでとう。」
「えぇっ?!い、いや?!その、アナの立場や気持ちを考えないと俺は結婚まで踏み切れませんよ?!」
何だろう。この2人はとてもまどろっこしいのではないだろうか?いつも一直線で行動するアルヴィーヌにとって初めて見せられるすれ違いにもやもやが止まらないのだがそれを放置出来る程大人ではない。
「よし、それじゃアナも含めて最終確認をしにいこう。」
そうして昼食の場に戻るとプレオスとアサドが見護る中、2人は再び質問攻めにあうのだった。
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