恩義 -姦しい諜報-②
「げ?!ルサナとハルカ?!何か用か?!」
元々自由奔放といった意味で城内外から認識されている2人は、諜報活動という名の目立つ聞き込み捜査を一週間も続けていたせいで一部の人間からはより警戒される存在になっていた。
それに該当するチュチュも例に漏れず、ルサナ達の姿を見ると全力で険しい表情を作って見せるが2人の突撃は止まらない。
「ええ!!今日はもうまどろっこしいのを抜きにして尋ねに来たの!!チュチュ!!クレイスの王位継承に反対する人間を知ってるんでしょ?!教えなさい!!」
「貴女達・・・水面下での行動をお願いしてたでしょ?これだけ堂々と表立って問い詰めるのなら私がやるわよ?」
そこにたまたまいたノーヴァラットが椅子に腰かけたまま呆れた様子で当然すぎる正論を突きつけると流石のルサナも過ちに気が付く。もしかして自分達は諜報活動というものについて勘違いしているのではないかと。
「ふっふっふ~!甘いわねノーヴァラット!!今回は『暗闇夜天』の尋問術を使って無理矢理口を割らせるの!!いくわよルサナ!!」
ところが元々戦闘狂寄りな思考を持つハルカは省みるどころか力強く前に進んで行くではないか。その双眸は激しくぎらついており周囲が見えていないらしい。
どうしよう?と一瞬考えるが今回の諜報活動は全てクレイスの為なのだ。彼の王位継承を円満に成就するには反対勢力を排除せねばならない。であればここは少し強引でも突っ込んだ方が後ほど深く感謝されるに違いない。
「だぁぁああ?!おいノヴァ!!こいつら何とかしてくれよ?!」
「・・・・・じゃあいい加減教えてよ?誰がクレイスの王位継承に反対してるのか。そうすればあの娘達も止まる筈よ?」
そんな雰囲気と彼女自身も知りたかったからか、ハルカを止める条件を提示するとチュチュは一瞬考えるような素振りを見せたので間違いなく黒は黒なのだろう。
「・・・仕方ない!!かかってきな!!!」
更に戦う事を選んだのだからもう遠慮はいらない。『トリスト』でも数少ない将軍位に立つチュチュは無手ながらしっかりと構えてハルカの攻撃に備えるが、残念な事に個としての実力差とルサナも同時に相手をしなければならないという圧倒的不利はどう転んでも覆しようがなかった。
「はい!一丁上がり!!」
「ぐえぇっ?!お、おまえら・・・容赦ないな?!」
決して酷い事にはならないだろう。そう思って軽く横槍を入れる程度に動いてみるとチュチュはいつの間にか手足を縛られてその場に倒れ込む。
これが『暗闇夜天』の実力か。ルサナもその早業に目を丸くして驚いていたがここからが始まりなのだ。
「さぁて・・・チュチュ、素直に白状したければすぐに教えてね?私は拷問に専念するから・・・いくわよ~?」
「ま、待て?!な、何をするつもりだ・・・あっあっはっはっはっはっはっはっは~~~や、やめろおおおおおお!!」
それから何が始まるのかと思えば彼女は徐にチュチュの靴を脱がすと同時に懐から筆として使用する羽を取り出したではないか。
そして想像通り、その柔らかい羽で足の裏をこちょこちょとくすぐり出したのだから安心と同時に困惑もする。
拷問と口にしたのでどんな酷い事が始まるのかと身構えていたがこれなら放っておいても良い。むしろ自分も参加してみたいという衝動に駆られていたのだが実はこの方法、見た目以上に拷問らしい。
「わ、わきゃった!!わきゃったからやめれぇえぇぇぇ!!!」
「お?ほんと?じゃあ教えて教えて?!」
将軍だからもっと厳しい拷問にすら耐えられる筈だと思っていたのに顔をくしゃくしゃにして懇願してきたのでルサナとノーヴァラットは驚いて顔を見合わせる。
そんな中ハルカだけはしたり顔で尋ねるとチュチュは息も絶え絶えにまずはその拘束を解いてもらうよう言葉を続けるのだった。
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