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闇を統べる者  作者: 吉岡 我龍
クレイスの憂鬱
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クレイスの憂鬱 -王の号令-⑯

 「・・・マッドメンよ。あなたは下っ端である売人如きの情報を鵜吞みにするのか?証拠もなく?」

「あらあらあらぁ?売人とは言え私の可愛い手下よぉ?少なくともあぁたより価値のある存在だんわぁ?!」


びしゅっ!


それからすぐ彼の腕から細長い針のようなものが飛ばされてきたのでクレイスは一瞬だけ土の魔術を展開してしまったが、この判断は正しかったらしい。

「・・・・・助かったぞ、アミール。」

「いえ、側近として当然の事をしたまでです。」

先端の鋭さから恐らく棒手裏剣の類だろう。アーヘラの手前に落ちた刀身が変色している事から毒の塗布も伺えるので素手で触るのは危険な筈だ。

「ぇへえぇ?凄い凄いぃ!私の不意打ちを凌ぐだなんてぇ・・・あれ?あなただれぇ?」

「僕はアーヘラ様の側近、アミールです。」


「ふむ。という事は確定だな。」


「へ?」

ところがこの行動によってショウの流言を裏付けるものと判断されてしまったようだ。思わず気の抜けた声を漏らすも『暗殺』組織の長カーテルが殺気を放つと他の長達も2人を殺す為に席を立って武器を取り出した。

「ま、待て待て?!何故そうなるのだ?!」

「まだしらばっくれるのか?お前の屋敷に2人の青年が入っていったのは把握している。そして腕の立つ1人を護衛としてつけてきたのはこの場で我々を殺して組織を手中に収める為だ。違うか?」

なるほど。犯罪組織的な思考だとそこまで短絡的になるのか。クレイスは己の立場を忘れて感心するが口より手の早いのもまた彼らだというのをすぐに思い知る。


「ア、アミール!!ここは逃げるぞ?!」


しかしアーヘラもそれなりに戦える筈なのに何とも情けない悲痛な声を上げている。自分としてはむしろ全員を返り討ちにすべきではと提言したいが今の立場は何故か側近なのだ。

「仕方ありませんね。では皆様、私達はこれで失礼致します。」

「やれっ!」

彼らを討ち取った所ですぐに代わりの長が席に着くのは以前から聞いていた。

ならばクレイスは襲い来る各々の攻撃が届く前に風の魔術で相手の動きを阻害してから、丸々と太った体の腰紐をしっかり握って後方にある扉までばれないように低空で飛ぶ。

そしてそのまま廊下の突き当りにある窓から飛び降りると2人は運良く真下で待機していた馬車に乗り、そのまま屋敷へ逃げ帰るのだった。




「た、助かったぞぉ!いやぁ流石はアミール!!本当に申し分ない働きだった!!」

様々な要因で脂汗塗れのアーヘラは未だ蒼白な表情ではあるものの、一先ず身の危険から逃れた思いを叫ぶとクレイスも笑顔を返す。

「ありがとうございます。しかしこれでショ、サウィースの考えが分かりました。」

「な、何だと?」

「彼は貴方を反逆者に仕立て上げたいんですよ。だからわざと姿を見られるような諜報活動を行ったり売人さんに自ら情報を渡したりしてるんです。」

でなければあのショウがそんな簡単に尻尾を掴ませる筈がない。現に今、アーヘラは犯罪組織から狙われる存在になったのだから間違いないだろう。

「ば、馬鹿な・・・そんな・・・」

「しかしこの先貴方は彼らに狙われるでしょう。つまり今の状況を打破するにはサウィースの説得に応じるのが最も手堅いかと思いますよ?」

あれ?これっていつの間にか自分も脅迫する立場になっていないか?短い期間だがもしかすると犯罪組織に身を置いていたせいで思考も染まってしまったのだろうか?

違和感こそ覚えるが決して罪悪感を感じないクレイスは僅かに己の心を疑ったがアーヘラの苦悩する表情を見てまずは今後どう動くかを尋ねてみるのだった。

いつもご愛読いただきありがとうございます。

本作品への質問、誤字などございましたらお気軽にご連絡下さい。

あと登場人物を描いて上げたりしています。

よろしければ一度覗いてみて下さい。↓(´・ω・`)


https://twitter.com/@yoshioka_garyu

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