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闇を統べる者  作者: 吉岡 我龍
クレイスの憂鬱
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クレイスの憂鬱 -王の号令-⑮

 会合が始まる時間は午後2時だと聞いていた。にも拘らずそれまでに姿を見せたのは『賭場』の長ハークートゥだけとはどういう事だ?

「アーヘラさん、また随分な男娼を侍らせていますね?貴方にしてはとても趣味が良い。よければ今夜貸して頂けませんか?」

しかもこれがまた癖の強い人物で入室した時から一切の挨拶もなくそんな話題を振ってきたのでクレイスもどんな表情をすればよいのかわからなかった。

「ぐふふ。残念だな。こいつはわしが今最も気に入っておる側近だ。例えジェリーマの命令が下ろうとも手放すつもりはない。」

「あら残念。じゃあ飽きたら回してね?」

一体どういった人物なのかさっぱり見当もつかないが少なくとも今はアーヘラの斜め前に座っており、その視線はずっとこちらに向いている。それがまた嫌悪感を倍増させるのだがここは我慢だ。


それから開始時刻が十分以上過ぎた後、『酒』の長マハムと『人身売買』の長アンナースが入ってくるとやはり2人ともクレイスに目をやって驚く。


「何だ何だ?随分と器量の良い若造じゃねぇか。こんな逸材どこから見つけてきた?アンナース、お前の手引きか?」

「とんでもない!私も今初めて見たよ。しかしアーヘラには勿体ないねぇ。ねぇあんた、そんな男の慰みものなんか辞めて私に飼われないかい?たっぷり可愛がってやるよ?」

よかった。イルフォシア達を参加させなくて本当に良かった。何度目かわからない感想を胸にクレイスは静かに首を横に振りつつ2人をゆっくり観察する。

『酒』を取り扱っているマハムは如何にも犯罪者らしい下卑た言動だ。不潔な見た目や背中の曲がった姿勢からも組織の長というより下っ端にしか見えないが何かしらの能力を買われて今の地位にいるのだろう。

そして『人身売買』の長であるアンナースは見た目こそそれなりに綺麗な女性なのに口から出てくる言葉や文言には眉を顰めるしかない。


更に30分が経った頃、扉が開いて最後の長である2人が入室してくると他の4人が一斉に席を立ったのでわかりやすい序列を垣間見る。


「さて、では会合を始めるか。今回は他でもない、我らの組織を調べようとネズミが入り込んでいるようだ。アーヘラ、知っている事を全部吐け。」


彼が『暗殺』組織の長だろう。明らかに一人だけ雰囲気の違う男は前置きもなくアーヘラに詰め寄ると周囲も視線を集めた。

「さて?何の事やら?」

「とぼけるな。お前の屋敷に入っていった赤毛の青年が各地で動きを見せている報告を多数受けているのだ。奴は何者だ?どこから拾ってきた?」

(・・・ええええ?!滅茶苦茶ばれてるの?!)

まさかショウがそこまで足跡を残す行動を取っているとは。これには驚愕で思わず声を上げたい衝動に駆られるが当の本人は何食わぬ顔でしらを切り始める。

「さぁな?確か名はサウィースだったかな?隻眼で顔に大きな傷を負っている。だから使い物にならんと追い出したんだが・・・これで満足か?」

あくまであの時の会話を漏らすつもりはないらしい。その見事な演技に思わず感心していたがショウはそんなにぬるい男ではないのだ。


「じゃあこれはどうぅ?私のとこの売人が聞いたんだけどぉ、何でもあぁた、そのサウィースとやらを使って組織を乗っ取る計画を立てているらしいじゃなぁい?」


そこまで聞くとクレイスにはピンときた。どうやら彼は流言を使って犯罪組織の内部に不和を生み出したいらしい。

しかし『麻薬』組織の長であるマッドメンは常にくねくね動いているのもそうだが病的にやせ細った体、口調に体臭か『麻薬』の臭いなのか。不快感をこれでもとまき散らしながら尋ねてくるとアーヘラの方も僅かに動揺を見せていた。

いつもご愛読いただきありがとうございます。

本作品への質問、誤字などございましたらお気軽にご連絡下さい。

あと登場人物を描いて上げたりしています。

よろしければ一度覗いてみて下さい。↓(´・ω・`)


https://twitter.com/@yoshioka_garyu

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