クレイスの憂鬱 -王の号令-⑦
半裸にむいたのは行動を阻害する為だと後から聞いたのだが本当かな?という疑い半分、納得半分だ。
「すみません。報酬と我々の扱いについて少々お尋ねしたいのですが。」
ショウは先程行われていた情事を綺麗さっぱり忘れた様子で尋ねると犯罪組織に近いからか、妙に人相の悪い男が顔を覗かせたのでクレイスは少しだけ驚いた。
「おう、新入りか。どうした?もう終わったのか?」
「いいえ、彼女では納得がいかないので交渉に参りました。」
「ほう?初回から選り好みとはいい度胸じゃねぇか・・・ふむ?・・・もしかして男の方がよかったか?だったら今度からは気を付ける・・・」
「そうではありません。」
確かに2人は中性的な容姿をしているので勘違いされても仕方がないだろう。しかし知らない事とはいえ片や王太子、もう片方は左宰相を相手に随分と命知らずな発言をするものだ。
(・・・そういえばユリアンにも同じような対応をされたな・・・まだそんな風に見えちゃうのか。帰ったらもっと鍛えないと!)
「ほう?それじゃどういった話だ?」
「我々は今でこそ村人として生きていますが少し前までは国家に勤めていたのです。相手をするにしても相応の身分の方を求めます。」
そんなクレイスの密かな目標とは裏腹に話はまた予想もつかない方向へ転がり始めたらしい。ショウが虚実を入り交ぜた会話をし始めるとマスクルも驚いた様子で2人を舐めまわすように観察し始める。
「・・・確かに容姿が整い過ぎてるとは思ったんだよな。その物言いも度胸も村人のもんじゃねぇ。いいだろう。明日本部からお偉いさんが来るからな。そこで話を通してやる。」
「ありがとうございます。」
そして思いの外あっさりと要望が通った事で今度はクレイスが目を丸くしていたが長居は無用だろう。マスクルの気が変わらない内にとショウに促されて再び部屋に戻って来たのだがそこでは未だ衣服を着ていないアルスが双眸を潤ませていた。
「あの・・・楽しませてくれとは申しません。せめてお慈悲を頂けませんか?ショウ様・・・」
こうなってくると犯罪組織を相手にしていた方が楽なのかもしれない。妙な火の着き方をした彼女にどう対応するのか、これまた妙な興味を抱いてしまったクレイスもどきどきしながら見守っているとショウは苦笑を浮かべなら寝具の傍の椅子に腰かける。
「すみません。私には既に心に決めた女性がいるので。配給品は結構ですからお引き取り下さい。」
その答えに彼女も目を丸くした後相当な落胆を見せていたがこればかりは仕方ないだろう。というかショウらしくない、とても真っ直ぐな切り返しにはクレイスも軽い感嘆を覚えていた。
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