クレイスの憂鬱 -王の号令-⑥
「私達との時間を買うのにどれくらいの報酬を支払われたのですか?」
どうやら彼は当初の目的である犯罪組織の詳細について、まずは顧客から情報を引き出そうとしているらしい。
「えっと、当日配給品の半分、ですけど・・・あの、早く楽しみませんか?時間が・・・」
「静かに。今は私が質問をしているのです。貴女はただ答えるだけで良い。わかりますね?」
ショウはアルスの腰の手を回して胸元に人差し指を立てた後、静かな威圧感を放ちながらそのまま寝具に押し倒す。
「は、はい・・・」
「ここ以外に娯楽施設の場所はご存じですか?『賭場』や『煙草』が売っている場所などを。」
「え、えっと・・・『賭場』は村外れの倉庫で開かれている話は聞いた事があります。『煙草』はここでも売ってますし村のあちこちに売人が立ってます、よね?」
しかし尋問の為とはいえ彼女を半裸にしていくのはどうなのだ?いや、そうしないと怪しまれるのはわかるがクレイスの視線をどう捉えているのだ?
いやいや、ショウはあくまで諜報活動を最優先しているに過ぎない。むしろ傍観者でしかない自身が怖気づいてどうする。
「そうでしたね。ところで・・・彼らの後ろ盾、いわゆる『暗殺組織』の拠点はご存じでしょうか?」
「え、えっと・・・噂では聞いてますけど・・・その、詳しくは・・・」
それにしても情事と尋問を同時に行うとは流石はショウだ。自分なら絶対にイルフォシアが脳裏に過り相手に触れる事も出来ないだろうと妙な感心を覚えていると不意に動きが変わる。
「そうですか。わかりました。」
どうやら彼女への聞き込みは終了したらしい。怪しげな空気も霧散させてショウが静かに体を起こしたのだから2人はきょとんとしてしまう。
「クレイス、まずはアルスの支払いが不十分な件についてマスクルを問い詰めましょう。」
「えっ?!そこ?!」
「だってそうでしょう?貴方は言うまでもなく、私もそれなりに異性から視線を集めるくらいの容姿と立場を持っているんですよ?少なくとも配給品の三日、いえ、五日は納めてもらわねば話になりません。」
「そ、そんな・・・流石にそれは高すぎます。ショウ君だけでいいからもう少し安くなりませんか?」
売るとはこういう事なのか。得も言われぬ気分に思わず顔をしかめそうになったがショウは最後までそれをおくびにも出さず演じ続ける。
「駄目ですね。我々にも誇りがありますので。あと私の事はショウ様と呼ぶように。貴女とは格が違うのですよ?」
(あ、やっぱり無理をしてたんだ。)
最後に結構な怒りを見せたので安心してしまったがアルスの顔から困惑と紅潮が読み取れるのは何故だろう?
とにかく一度退室する言い訳を立てるのに成功した2人は彼女を置いたまま部屋を後にすると次にこの『売春宿』を営んでいるというマスクルの下へ向かうのだった。
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